本当の恋人～ars parallel world～ (ページ12)

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12 楽しみにしてるページ12

「あっ！やべっ。」

突然大野先生はあわあわし始めた。

「またやっちまったー。
カウンセリングしてねー。」

と頭をかきながら言う。

……ですよね。

ただお茶しただけだった。

でも

この時間だけ今の現状を忘れられたかも。

「ごめんねぇ、次回の予約入れておくからさ、それこそ今日のお詫びにケーキ買っとくわ。」

「そんな気になさらないで下さい。」

「ふふん、ちがうよぉ
おいら、次回ちょー楽しみにしてるもん。」

えっ

何かを含んだ大野先生の言葉にドキッとした。

……ケーキ。

そうだ、ケーキだ、ケーキのことだった。

びっくりした

「私も楽しみにしてますね。」

にこりと笑いかけたら

大野先生は一瞬『おっ』って顔して

「よっしゃ、じゃあ帰ろか。」

と車イスを押して

カウンセリング室を後にした。

「一人で帰れますよ。」

「Aちゃんの病室、特別室だよね？
……おいら、行ってみたい。
特別室ってどんな感じなの？」

「……なんか、私には広すぎちゃって……
寂しいし、落ち着きません。」

苦笑いを浮かべながらそう呟くと

「……じゃあ、おいらAちゃんのお見舞い毎日行っちゃおうかな～。」

優しく笑ってくれたから

「はい、楽しみにしてますね。」

って自然に笑顔でそう言ってる自分がいた。