銘肌鏤骨：os※男主※ ページ3
明日は、きっと忘れられない日になるだろう。
---
海軍省から歩いて程なくした場所にある海岸。
ここはオス田海相殿のお気に入りの場所の一つであり、
きっと彼がいるならこの場所だろうと思っていた。
目的の場所にたどり着くと予想通り、
彼は自身の髪を潮風になびかせ、海を見つめていた。
近づき、その背に声をかける。
「海相殿。」
「あぁ、その声は…Aくんかな。」
彼はこちらを振り返ることなく海に向かい僕の名前を紡ぐ。
「私を探しに来るならきっと君だろうと思っていたよ。」
「海相殿のお世話を頼まれておりますからね。」
冗談交じりに答え、少し近づく。
「ふふっ。トン六くんにかね？彼は最後まで気を遣っているなぁ。」
答える海相殿の声は、どこか楽しそうで。
進んでいるのかどうか怪しい閣議に出席した後の、陸軍や首相の愚痴をこぼしながら、紅茶を飲んでいたあの時の声色と重なった。
その後、僕からは言葉を発することなくただ黙って彼の後ろ姿を見つめていた。
見惚れてしまうほど美しい顔と船乗りには似合わない艶やかな髪。
女性的な容姿を持つ彼だが、戦場では雄々しく指揮を取り我々を導いてきた。
憧れであった。
軍内では海相殿をよく思わない者が多かったが
彼は誰よりも海を愛し、国を愛していた。
そんな彼をいつも僕は後ろから見つめていた。
今、この時のように。
彼とその隣に立つ山茂連合艦隊司令長官殿、いつかあのお二方の隣に立てる
相応しい軍人になるべく
今日まで走ってきた。
本当に─────憧れていたのだ。
憧れがいつの間にか違う感情に変わってしまうほどに。
1人感傷に浸っていると
相変わらず海を見つめたまま海相は話し出す。
「トン六くんが亡き今、軍を支えているのは君だ。本当に感謝しているよ。」
「いえ、滅相もないお言葉です。私では山茂元連合艦隊司令長官殿には到底及びません。」
「どうも歴代の司令長官は考え節なところがあるようだな…。海軍大臣である私が言うのだ。自信を持ちなさい。」
「…はい。ありがとうございます。」
俯き気味に答えていると、海相殿がまた口を開く。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楽雨流-らうる- - よかったです！(*´∇｀)握手しましょ！私もその曲大好きです(^^) (2018年12月21日 15時) (
レス) id: 4c09bfd5b5 (このIDを非表示/違反報告)
midori123(プロフ) - 楽雨流-らうる-さん» わ〜！その通りです！正解です！大好きな曲なんですよね。握手しましょう。 (2018年12月21日 10時) (レス) id: da7d1bc408 (このIDを非表示/違反報告)
楽雨流-らうる- - 初コメ失礼します。一個目ってback numberの日曜日ですよね？間違ってたらごめんなさい(‐人‐) (2018年12月20日 20時) (レス) id: 4c09bfd5b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：midori123 | 作成日時：2018年12月10日 20時
