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「秋乃さんのこと、好きみたいです」




好き。

わたしを。


――安室さん、が。




(…あああもう!)

終業後の事務作業はろくに進まないまま、
ひとり机に突っ伏した。


先日の言葉が頭を離れない。

あれ以来、ポアロには行けるはずもなく。安室さんとは一度も顔を合わせていない。


返事はいつでもいいと言っていたけれど。
一向にまとまらないのはわたしの頭で。




安室さんのことは、多分、好きだ。
あの時の言葉が嘘だとも思えない。

お付き合い、できるなら嬉しい…と思う。


なのにどうして素直に認められないかというと。おそらく、自信がないから。


こちらから見た彼は、なんでもこなせるすごい男性で。そんな人に果たして釣り合うのか。
もしかしたら実際付き合い出したら幻滅されるんじゃないかとか。
考え出したらキリがない。

はあ、と軽く息を吐き出す。


――わたし、こんなマイナス思考やったっけ。

いつもなら、持ち前のなんとかなる精神で解決できるのだが、恋愛となるとどうも上手くいかない。完全に迷子である。


もう今日は切り上げようと店の外に出ると、雨が少し降っていた。


(ああ、傘持ってないのに…)

小雨やしまあ早足で帰ろう、そう思いしっかり鍵を閉め、家路を急ぐ。



――そういえば、初めて会った日も雨やったなあ。

傘を借りて、紅茶買いに来てくれて、傘返しに行って。あのときコナンくんにも出会ったんやっけ。

いつも優しいけど、時折意地悪な顔も覗かせたりして。


(…もっと色んな表情、見てみたいな)




「――あなたのそういうところが好きなんだって」

また記憶がリフレインする。


思わず足を止めると、雨が少し強くなった。

(この悪い方にしか行かない気持ち、一緒に流れていけばいいのに)


さあさあと降り注ぐ粒を受けながら、そんなことを考えていた。

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設定タグ:名探偵コナン , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:恋愛
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枝豆(プロフ) - ゆあななさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると励みになります、頑張りますね! (2018年5月24日 12時) (レス) id: 12c730cb67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあなな(プロフ) - いやもうほんと、すごく面白いです!!頑張ってください!! (2018年5月23日 22時) (レス) id: 6443c029d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:枝豆 | 作成日時:2018年5月15日 12時

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