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帰りはお互い無言だったが、なぜか気まずい気持ちにはならなかった。
車内は控えめに絞られた音量でラジオが流れている。始まったゆるやかなポップスを聴いていると、マンションの前に到着した。
「遅くまで連れ回してしまいましたね、すみません」
「いえ、そんな…。夜景、見られて嬉しかったです。あと、元気出ました。連れて行ってくださってありがとうございます」
軽く腰を折ってお礼を伝える。
「どういたしまして、秋乃さんが元気になって良かったです。
――少し、赤くなってますね。しっかり冷やしてから寝てくださいね」
運転席からこちらに少し体を寄せて、その手は頬に添えられた。
まっすぐな眼差しと頬の温もりに、
目を合わせていられなくなる。
(…だから、そんな、)
「――、 安室さん…」
「? はい」
「…よくない、です。
そんなこと、されたら…、わたし、勘違いしてしまいます」
恥ずかしくて最後は消え入りそうな声になる。
安室さんは、そのままの姿勢で少し黙り込み。
「――勘違いしてもらっても構わない、と言ったら?」
「…………え、」
そう言うと、
手を滑らせ、わたしの髪を耳にかけた。
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枝豆(プロフ) - ゆあななさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると励みになります、頑張りますね! (2018年5月24日 12時) (レス) id: 12c730cb67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあなな(プロフ) - いやもうほんと、すごく面白いです!!頑張ってください!! (2018年5月23日 22時) (レス) id: 6443c029d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:枝豆 | 作成日時:2018年5月15日 12時