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「哀ちゃん！どこ！？哀ちゃーん！」
火災の影響だろうか。煙がすごくて咳が止まらないし前も見づらい。
ハンカチだけは持ってくるべきだったな、と少し後悔しながら彼女の姿を探す。
今は何号車だろうか。
ずっとしらみつぶしにドアを開けているが全く見つからない。まだ後ろの車両か…
(もしかして…
火元あたりにいて逃げられない、とか)
――最悪の事態を想像してしまい、頭を振る。
とにかく、一番後ろまで確認しよう。
早くしないとそろそろ限界を迎えそうだ。
次の車両への扉を思い切り開けた時、
煙の向こうで微かに人影が見えた気がした。
(哀ちゃん！？
…違う、背が高い。子どもじゃない)
大きな音を立てたからだろうか。
その人物がこちらに向かってきた。
「秋乃さん！？どうしてここに、」
「え、安室さん？」
なんでこんなところに…と漏らすとそれはこっちのセリフです！と被せられた。
「一体何してるんですか、
アナウンス聞いてなかったんですか！？」
そう言ってわたしの肩を掴む。
かなり力が入っていて痛いくらいだ。
「あの、哀ちゃんがどこにもいなくて…
もしかしたら火元の方にいて動かれへんのかもって思って」
「探しにきたんですか。こんな危険な場所に」
「し、心配で…」
責められるような言い方をされ言葉に詰まる。
「はあ…あなたって人は」
「でも安室さんこそ、」
と言いかけた口をハンカチで軽く塞がれた。
「使ってください、あまり吸ってはいけない。
実はね、僕も誰も残っていないか確認していたんです。乗客たちが心配でね。
…いいですか、僕はもう少しだけ調べてから後で合流しますので。
彼女のことも探しておきます、だから戻ってください。これ以上は本当に危険です」
何か言いたかったが、ひとつも都合のいい言葉が出てこない。
「それに僕なら大丈夫です。これでも毛利先生の一番弟子ですからね！ヘマはしませんよ。
すぐ戻りますので安心して下さい」
――そんな風に言われたらもう何も言えない。
そのまま流されるように背を押され、先ほど派手に開けた扉を再び通るとすぐに閉められた。
隔てた先で、彼がバーボンの顔をしていたことなど知らないまま。
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枝豆(プロフ) - ゆあななさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると励みになります、頑張りますね！ (2018年5月24日 12時) (
レス) id: 12c730cb67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあなな(プロフ) - いやもうほんと、すごく面白いです！！頑張ってください！！ (2018年5月23日 22時) (レス) id: 6443c029d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：枝豆 | 作成日時：2018年5月15日 12時
