マレウス・ドラコニアの右腕候補生 (ページ10)

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昼食ページ10

同じく食堂に向かって行った３人の後を追うと、どこかで曲がったのか見失ってしまった。もしかし

たら目的地は食堂ではなかったのかもしれない。

「セベクは何頼んだの？」

「サーモンのカルパッチョだ。」

「好きだねえ。僕はカレーライス。あと、ドライフルーツましましのヨーグルト。」

「そうか。マレウス様とリリア様、あとシルバーは一年生とは予定が違う。今日は２人で食べるぞ。」

「うん。」

こう考えると、セベクと２人で食事をするのは初めてかもしれない。いつも５人でいるからか少し物

足りない気もするがこれもいい。

「どう？セベクのクラス。仲良くできそう？」

「人間と仲良くする気はない。」

「相変わらずだなあ。僕だって人間なのに。」

「お前は特別だ。共に若様に仕える身。同志なのだから。」

「そう言われると嬉しいけど、キツイこと言わないようにね？」

「……頑張る。」

「よろしい。僕の方は初日早々ちょっかいかけられたよ。」

「何をされた？」

「マジカルペン投げつけられた。しかもペン先向けられて。」

「それで？」

「ノールックで避けてヘアピン投げ返しといた。」

「流石だな。その反射神経は尊敬する。」

「僕はセベクの力が羨ましいけどね。」

事実、セベクの体はたくましい。何だって自分で持ち上げられるし、腕っぷしは僕が知ってる中で一

番だ。拳一つでマレウス様をお守りできるセベクが、本当に羨ましい。

『肉体の強さだけが右腕候補生の価値を決めるわけではない。知識、話術、武術、容姿。その全てを使って王を支える者。それが右腕候補生だ。』

昨日マレウス様がおっしゃった言葉が脳内でこだまする。そうだ。力だけがすべてじゃない。

「気を付けないとなあ。」

「何をだ？」

「何でもない。それよりセベク、放課後に手合わせしてよ。セベクのパワーに勝ちたい。」

「コテンパンにしてもいいのか？」

「させないから。」

自信満々に笑うセベクを指差して宣戦布告。速さなら絶対に負けてやらない。力では負けても、他で

補えばいい。

「このカレー、何か物足りない気がする……」

「そうなのか？」

「何というか、スパイスが足りない？」

「ふむ。」

首を傾げるとセベクはフォークの先でカレーをすくう。微量なカレーを口の中で味わうとまたさらに

首を傾げた。

「そこまで物足りないとは感じないが。」

「そう？もっと辛い方がおい」

しい。そう言いかけたその時、すぐ隣のシャンデリアが音を立てた。