マレウス・ドラコニアの右腕候補生 (ページ20)

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授業ページ20

「毛玉草はその名前の通り、見た目は人畜無害な可愛らしい緑の薬草だ。山に群生しているのを見たことがある者もいるだろう。そして毛玉草はある一部分を除いて薬になる。では毒になる一部分はどこだ？では……トラッポラ、答えてみろ。」

「え、オレ⁉」

クルーウェル先生に指されて反射的に立ち上がるエース。でも、この様子は分かってないようだ。

毛玉草。確か茨の谷でも生えているのを見たことがある。丸っこくて柔らかいあれが密集している

光景は中々に愛らしい。だけど、可愛い姿とは裏腹に熊すらも殺す毒が宿る場所があるのだ。これは

見た目からは予想がつきにくい。先生もひどいことをするものだ。教科書で予習をしていても、これ

は難しい。少しの間の後、悩んでいるエースの実験服の裾を引っ張る。僕に注意が向いた隙に、小声

でささやいた。

「エース、葉の先だよ。」

「葉の先です！」

「グッボーイ。よく予習しているな。」

小さな声でも聞き取れたようで、エースはホッと一息つきながら席に着く。

「ありがとな、レーヴェン。」

「どういたしまして。でも、次からは僕の助けがなくてもいいように勉強してね。」

「はいはい。」

他の生徒に質問が移った隙に魔法薬学の教科書を開く。さっき先生が指示した基本の薬草毒草１００

種類くらい、すぐに覚えてしまわなければ。マレウス様の右腕候補生として。

＊＊＊＊

「なあレーヴェン……」

３時間目の体力育成の授業を終えた休み時間、エースが４時間目の教室の隣で呟いた。次の授業の予

習をする僕を覗き込んで、ノートと僕の顔を交互に見つめる。

「何？」

「いや、えっと大したことじゃないんだけど……デュース」

「俺も多分同じことを考えている。」

「え、二人共どうしたの。」

「じゃあ、一緒にいくぞ。せぇの、「「お前、何でもできすぎないか⁉」」」

「え……ええ⁉」

僕が思わず予習の手を止めると、二人は目を見開いて話を続ける。

「まず魔法薬学！クルーウェル先生のクソムズ問題全問正解ってどういうこと⁉」

「次は魔法史！ノートを見たがなんで関連事項とか細かい所まで書けるんだ？俺なんか板書を写すので精一杯だったぞ！なあ、ユウもそう思うだろ？」

「そうだね。というか、もっと驚いたのは体力育成だよ。グラウンド２０周して切れない息って何？」

「それは……んー……それが僕の仕事だから？かなあ。」