マレウス・ドラコニアの右腕候補生 (ページ19)

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苦手ページ19

「この魔法を⁉ マジで⁉」

エースが声を張り上げたのに反応してデュースも顔を上げる。

「本当なのか⁉」

「ん？まあそうだね。ただ、魔法の強度にもよるかな。だけどそれだったら多分いける。」

「そんな魔法があるの？」

ユウが尋ねたのに頷くと、エースが一気に目を輝かせた。あるとは言え、誰でも使えるわけではない

が。

「僕のユニーク魔法だから僕しか使えないだろうけどね。」

「レーヴェンのユニーク魔法は何ていうんだ？」

「ああ、それは」

「そこ！そろそろお喋りをやめろ。ベルはとっくに鳴ったぞ。」

いつの間にか話に夢中になっていたらしく、クルーウェル先生が来たのに全く気付いていなかった。

どうやらお冠らしく、手に持った指し棒を振って僕達に向ける。

「すみません、クルーウェル先生。」

「すみません。」

皆で一緒に頭を下げると、クルーウェル先生は仕方なさそうに首を横に振った。僕の失態で怒らせて

しまっただろうか。だとすればマレウス様の名誉に傷が……

「分かればよろしい。だが、ここからは良い子にしてもらおうか。」

とりあえず何か言われることはなさそうだが、やってしまった。間違いなくクルーウェル先生の中で

の僕の印象は悪くなった。ここから挽回しないと。

「それではこれから魔法薬学の授業を始める。まずは基礎知識として薬草と毒草１００種類の名前と見分け方をお前らの小さな脳みそに叩きこむ。菌糸類はまた別だ。散歩中に知識なく口に入れて中毒にならないように、いずれ覚えてもらう。」

やっぱり前から思っていたが、この先生は苦手だ。生徒のことを犬呼ばわりするのはムカつくし、人

として認識されていないのには腹が立つ。極力関わらないようにしたいところだ。

「なるほど。ところでキンシルイって何だ？」

「カビやキノコのことだよ。毒キノコは食べると本当に洒落にならないから、そういう意味で言ったんだと思う。」

「げー。オレ、暗記系苦手なんだよなー。」

「草なんか、美味いか不味いかだけわかればいいんだゾ。」

「毒キノコは死ぬほど美味しいって聞くけど、それで死んだらダメじゃない？」

「ユウに同意。」

キノコの毒性は時に薬になるほど有名だ。僕も昔、嫌というほど叩きこまれたし知っている。ユウの

言っていることは正しい。

「軽い予習は済ませてあるな？では早速聞いてみようか。」

そう言うとクルーウェル先生は黒板にチョークを走らせ始めた。