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賊「つーか……頭おかしいんじゃねぇの?」
私はその言葉に重い頭を上へとあげる。
賊「だって、そうじゃねぇか?俺たちは王宮に侵入する前に
ちゃんと下調べしてたんだよ。……見てみると面白ぇじゃねぇか。」
「……?」
賊「なに、善人ぶってんだよ?お前さぁー、王宮内であの国王の
右腕のジルってやつしかまともに言葉話してねぇのな。」
……!?
知ってたの!?
私は口の近くまで出かかったその言葉を飲み込む。
と、いうかー………そう、だよね。
ユーリさんには嫌われるような事しかしていない……
……助けに来て欲しい……なんて、
都合が良すぎるよね…。
けど………
あの言葉………
信じたい……
ユ「大丈夫だよ…俺がここにいるし……いざって時、守ってあげるから……」
そんな事を考えていると、さっきの塩水もプラスして更に
自分の体が冷たくなっていくのを感じる…
あぁ……もうだめだ……と思ったその時…。
ギィィイ
と、不気味な音を立てながらドアが開いていった。
ーーーーーー
ユーリside
....ここか...。
A様....無事でいてください……。
無傷な俺だけれど、毎日欠かさずトレーニングも
してきた……けど、疲労も溜まっていた。
だから俺には…、ドアを蹴破って、というような格好の良い
登場の仕方はできない。
蹴破って入れるのは……あの大会で…2位を
勝ち取った……王宮では、アラン、シュタインでは、アルの2人だけなのだろう……。
少しだけ、悔しい思いを乗せドアを開く……
さて……戻るか……。A様を助ける為に…
剣を振るう時の素の自分に。
………
……………
……………………。
ーーーーーー
貴方side
ユ「……あんた達2人で最後……だねっ。」
こんな時なのに……ユーリさんは笑みを崩さなかった。
むしろ……無邪気な笑みを振り払ったように……真っ黒い笑みを
浮かべて……私たちに近づいてきた……
怖い……怖い……怖いよ……
戻って欲しい……なんて、我儘かな……。
何回も私の為に向けてくれた……あの笑顔……
本当の本当は……嬉しくて……嬉しくて……逆に強かっただけなのに……
あの笑顔を見せる……ユーリさんに戻って欲しい……。
そして、ユーリさんは目の前へと突撃していった。
まさに……刃物のように……。
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双子人形 - すごくおもしろっかったです!更新頑張ってください! (2016年9月3日 20時) (レス) id: 6dd0cc9a3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せぴあ | 作成日時:2015年12月29日 12時