野坂くんと私の短編集【野坂悠馬】 (ページ22)

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22.君をヴィーナスにしたいページ22

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「きりーつれい、さよーなら」

「「「さようなら」」」

『…。』

SHRを終えスマホで今日の相手を確認する。

すぐに教室を出て、制服のまま街を歩く。

指定されたカラオケ店に入りメールで言われた番号を定員に伝えると、すぐに通してくれた。

でも部屋には入らない。

そのまま女子トイレに入り便器の蓋を下ろし、そこに鞄を置く。

イモい三つ編みをほどき、ストレートなその髪にワイヤレスのアイロンをあて、ネクタイを外し、黒いワイシャツとスカートを脱ぐ。

鞄から白いワイシャツ、黄土色のようなカーディガンと赤いコスプレ用のスクールスカートを取りだし着る。

全部終わったら個室から出て、鏡で色々確認する。

『行くか』

指定された部屋番号を確認すると、深呼吸を数回する。

『…よし。』

ガチャッ

『お待たせしました！あいにゃんです！今日はよろしくお願いします♪』

私の最高の作り笑顔で相手を魅了させる。

「君があいにゃんちゃんか～可愛いね！」

『ありがとう！早速だけどおじさん、お腹すいちゃっからパンケーキ頼んでいい？』

「いいよいいよ！今日は食べて歌って楽しもうね」

『うん！』

今日もいつもと同じ流れだ。

おじさんとカラオケで甘いスイーツや飲み物をご馳走になって、

歌って、

ホテルに行って、

…寝る。

いつもそう。

同じパターン。

でも私はこの行為をやめられない。

お母さんは男を作り出ていき、お父さんはお酒に溺れ仕事をしない…

まぁよくある可哀想な家庭ってやつだよ。

お金が無いからこんなことしているのか、だって？

…半分正解で半分不正解。

お金は欲しいけど、それだけじゃないの。

愛が欲しいの。

私をこんな可哀想な状況から救ってくれる絶対的な愛が。

でも、こーゆーサービスしなきゃ愛なんてそうそう貰えないの。

でも、

男って単純だよね、つくづくそう思うよ。

シてあげるって言えばほいほい捕まるの。

「可愛い…好きだよ、あいにゃん」

もっと、

もっと言って。

「あいにゃん…好きだよ！好き！もうイ…っ」

…だめ。

「え、な…なんで、あいにゃん。止めないで！」

まだ足りない…

もっと、

もっと求めてよ。

『…だーめ、まだだめだよ！』

焦らして、

もっと

もっと焦らして…

そしたら、

「好き！あいにゃん僕があいにゃんのことずっとずっと愛するから！」

『…いいよ、』

「あぁぁあぁあああぁっ♡」