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20.甘い君への塩加減【とだえぬ想い】 ページ20

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冗談だとしても笑えない…



彼の冗談で笑ったことなんてないけど。



『何を…』


「死んでるから、食べたり出来ないんですよ」


『な、んで…い、いつから…』



「君が道路に飛び出した時。」



確かに私は道路で事故にあったことがあった。


でもその時は私が12歳の時、今から13年前だ。


「道路に飛び出した君を…


僕が助けたんだよ」



『あ…』


13年も前だが、私は人に助けてもらったことをはっきりと覚えていた。


顔とかはあまり覚えていないが背中を押されて咄嗟に後ろを向くと、私より大きな中学生くらいの男の子だったことを覚えている。


『え、じゃあ…あの少年は…』


「うん、僕だよ」


『え、



あ、…あ、ありが…』


「お礼なんていいよ。もう13年も前のことだしね」


『…でも、だって…



私を押して、貴方が車に…』


「うん、痛かった。苦しかった。



でも、今は大丈夫だから。霊体は痛くも痒くもないよ」


でも、人には触れられないし、喋れもしないんだけど、と彼は笑っている。


『でも、でも言わせて!ありがとう!!私…お礼したかったの!色んな人に貴方のいる病室を聞いて…まわって…』


「うん。」


『やっとの想いで知って、急いで病室を開けたの。そしたら…




貴方は…もう…』



「…うん。」



『貴方のお友達が病室で泣いていて…私に気づいて、…私責められると思ったの。



でも…___さんはお前を助けたんだ。助けたお前が無事で良かった、って…。___さんの死が無駄にならなくて良かった、って…』


「…彼がそんなことを、」


『分かるの…?』


「…長い付き合いだからね」


『そっか、親友だったのね…』


「…親友。そう、だね。




確かに彼とは、…親友だったのかもしれない」



そんなとこを話していると、突然彼が光だした。



『な、なに…』



「あ、はは…成仏するみたい」



『そ、そんな…私まだ、貴方に何も…』



「大丈夫だよ。聞きたい言葉はもう聞けた。



そうだ、その彼の住所を教えるから僕の伝えたい事、伝えてくれるかい?」



『うん!伝える!!なんて伝えればいいの??』



どんどん光に覆われていく。



住所を、彼の言葉を一言一句聞き逃すまいと耳を澄ます。



「西蔭、いつも支えてくれてありがとう。君は僕の親友だよ。って」



『わかった!ちゃんと伝えるよ!』


「泣かないで…」



彼が私の涙を指ですくう。



目を閉じて再び開けると、もう彼は消えていた。

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作者名:青井 | 作成日時:2020年3月27日 1時

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