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17.甘い君への塩加減【あなただれ】 ページ17

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「その橋は遠泳禁止ですよ」


自宅から遠く離れた橋に腕を乗っけながらぼーっと川の底を覗き込んでいると、最近聞き覚えのある声が聞こえた。


『…また、貴方ですか』


誰かなんて分かっていたけど顔だけ声が聞こえた方を向く。


「偶然ですね、またお会い出来るなんて…まるで運命のイタズラの様です」


『…馬鹿みたい』


「聞こえませんね。そうです、運命のイタズラついでに甘いものでも食べませんか?」


視線を元に戻して悪態をつくが彼には何処吹く風だ。


澄ました顔でそんなことを言う彼とは、半年前マンションの屋上で会ったのが始まりだ。


3年間仕事でこき使われ続け休みたくとも休めず働き続けた。


しかしついに限界になり、25歳にも関わらず無断欠勤をしてしまった日だった。


私の人生はなんだったんだろう…。


屋上から下を見下ろす。



…あぁ、高いな。


別に死ぬ気はなかった、


でも開放されたいだけだった。


靴を脱ぐと下は冷たい。


フェンスを跨ぎ外側に立つと風が私の体を吹き付ける。


『…気持ちいい』


あぁ、このまま落ちることを許してくれないだろうか。


今は1時だ、平日の。


私を止める人なんて誰もいるはずがないのに。


誰かに許可を取ろうとするなんて、さすが3年間社畜なだけあるな、と嘲笑してしまう。


フェンスを背にもたれ、地に座る。


足はぶら下がっていてパタパタさせると冷たい風が当たって気持ちがいい。


明日からどうしよう、と今更ながら考えていると聞いたことの無い男の声が聞こえた。


平日の昼間に声なんか聞こえるはずがない、と思ったが何度も呼びかけられるので少し腹が立ち振り返った。


「やっと、こっちを見てくれましたね」


いつの間にかに近くに来ていた人は子供で、目立つピンク色の髪の割には、目は灰色の虚ろな目をした少年だった。


「見るところによると貴方は会社員で、でもサボってきた、っていう感じですか?


こんな時間にこんな所でそんな服っておかしいですよね」


『…』


図星だが何も教える気は無いので視線を逸らす。


「あ、そうそう。貴方はマンションの住人じゃないですよね?これ、住居侵入じゃないですか?」


『…貴方は、』


「僕は住んでいるんですよ。ここに」


『…。』


まじか…確かにフラフラと歩いて上を見上げて一番高いマンションを見つけたから来ただけなんだけど。


「あ、もう行くんですか?



…お姉さん、僕と何か食べに行きませんか?

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ラッキーカラー

あずきいろ


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作者名:青井 | 作成日時:2020年3月27日 1時

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