君は僕の…【野坂悠馬】 (ページ45)

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44.呑まれている悠馬side ページ45

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悠馬side

Aと一緒に帰って家に着く手前、Aが変な事を聞いてきた。

『ゆーくん……明日も一緒に学校行こうね？』

言葉の意図が分からなかった。なぜなら当たり前の事だったからだ。

Aとは学校がある日は毎日一緒に登校している。

だからこれからも一緒だと勝手に思っていた。

悠馬「うん、当たり前だよ」

僕がそう言うとAは困ったように横髪を触る。

Aの癖だ。照れた時や都合が悪くて困った時にAは片方の横髪をいじる癖がある。

『…そうだよね、ごめんね』

不自然な笑い方をした君を僕は見逃さなかった。

でも聞いてもどうせ教えてくれないだろうな。僕は聞きはしなかった。

悠馬「ううん、じゃあまた明日」

『…あ、』

家に着いたことに気づいていなかったんだな。

『また、明日…』

僕が手を振るとAは固まっていた。

『あっ…』

様子がおかしい…？

『ゆ、くん』

君は苦しそうに僕を呼んだ。

悠馬「A…？」

瞬間、Aはフラフラとした足取りで顔を手で覆ってうずくまった。

悠馬「どうしたのA」

『…』

なにかブツブツ言っている。

おかしい。

悠馬「A…？」

一体何がAに起こったと言うんだ…？

ただ事じゃない雰囲気に焦る。

聞き取れない言葉がAの口から次々と聞こえる。

僕では何もしてあげることが出来ない…

結局は君の名前を呼ぶことしか出来なかった。

何度君の名前を呼んだのか分からない。

僕の声じゃ届かないんじゃないかと諦めかけたその時、Aの手の隙間から少しだけ見える目に光が戻った気がした。

その刹那、

『はっっっ！はぁっ…はぁっげほっ…げほっ』

意識がこっちに戻ってきてくれた！そう思いAに声をかける。

悠馬「A！大丈夫？？」

覆っていた手を離したAは顔には汗が浮かんでいた。

咳は少しすると治まった。

Aは僕の姿をその目で確認すると安心したように笑った。

『ゆーく、ん』

悠馬「うん、僕はここだよA」

『よかっ…た』

悠馬「Aが大丈夫そうで僕も安心したよ」

『…あははっごめんね心配かけて』

君はまた困ったように笑って横髪をいじった。

悠馬「…じゃあ本当にまた明日」

『うん！またね』

そう笑う君が心配になって扉の向こうに消えるAの背中をドアが閉まるまで見つめていた。