君は僕の…【野坂悠馬】 (ページ44)

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43.呑まれるページ44

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悠馬「…そろそろ戻ろうか」

『もう大丈夫なの？』

悠馬「うん…ありがとうA」

『いーえ！』

保健室に置いてある時計を見るともう4時間目も終わったところだった。

『ていうか帰る時間だね』

悠馬「本当だ。付き合わせてごめんね」

『ううん、全然大丈夫だよ！ゆーくんと一緒にいたかったから…』

『じゃあゆーくんはここにいて。私が荷物取ってきてあげるから』

悠馬「え、僕は大丈夫だよ？」

『そんなに目腫らして教室行ったら皆に色々聞かれちゃうかもでしょ！』

ゆーくんは不思議そうな顔をしたが私の言葉に納得してくれた。

『おまたせ、じゃあ帰ろっか』

悠馬「うん、ありがとうA」

『うん！』

ゆーくんの手当てをしたがやっぱり本人は今も痛いのか少し顔色が良くなかった。

『ゆーくん……明日も一緒に学校行こうね？』

ゆーくんは私の言葉の意図が分からないようだったけどすぐに笑った。

悠馬「うん、当たり前だよ」

『…そうだよね、ごめんね』

悠馬「ううん、じゃあまた明日」

『…あ、』

気がつくと家に着いていた。

『また、明日…』

(またあの変な感じだ…

ゆーくんが手を振ってくれているんだ。

早く振り返さなきゃ…)

『あっ…』

声が出ない。

『ゆ、くん』

会えない、そんなことあるわけないじゃないか。

でも、この世界に絶対なんてない。

悠馬「A…？」

息が詰まる。

苦しい…

暗い

何も見えない…っ！

目の前が真っ暗…

音が遠く聞こえる。

海に溺れている感覚に陥る。

『(ゆーくんが…)』

苦しい…

『(ゆーくんが溺れているっ！)』

息がっ…

目の前のゆーくんは足が地に着いていなくてもがいている。

『(このままじゃ…ゆーくんが死ぬっ！！)』

(嫌だっ…

それだけはダメっ…

助けたいのに…っ)

手を伸ばすがゆーくんには届かない。

まるでゆーくんと私の間に壁があるみたいだ。

やがて目の前のゆーくんの力が抜けていく。

(いやっ…

それだけは…

神様っ！！！！)

悠馬「…っ…A！！」

『はっっっ！はぁっ…はぁっげほっ…げほっ』

悠馬「A！大丈夫？？」

視覚が戻る。

見える。

ゆーくんもちゃんといる。

今、ここにいる。

『ゆーく、ん』

私とゆーくんは海に来てないし、もちろん溺れてなんていなかった。