記憶の果実 K �� ページ44
**K
「少し欲しくならない？」
「 うーん、遠慮しとくわ(笑) いいから食べなよ」
目の前で恋人が、綺麗に彩られたスイーツを食べている。
「舞台で疲れてるだろうからさ。こんな時ぐらい少しは甘いもの食べるかなーと思ったんだけど」
忙しくて買い物もできないだろう と
栄養を考えいろいろ持って来てくれた中に、用意されていたデザート。
素直に自分が食べたかったって言えばいいのに(笑)
「じゃさ、そのフルーツだけ一口もらう」
藤ヶ谷はフォークを持ち上げると、色とりどりのフルーツの中から迷うことなくイチゴを刺した。
にっこり笑って俺に突き出す。
「イチゴはお前が食べたいんだろ？」
「いいよ、あげる。この前の…お返し？」
そう言って俺の唇にちょん、と当ててきた。
「ほら、今日は観客いないし(笑)
この間のはマジ恥ずかしかったけどさ」
先日ツアー先で仕掛けたサプライズ。
そんなつもりはなかったのに、俺が藤ヶ谷にまさかの『あ〜ん』をすることになった。
特に昔はよくやらされた、アイドル誌なんかの甘ったるい演出が俺は苦手で。
なぜかああいう時イチゴが定番なんだよね(笑)
久しぶりに人前で藤ヶ谷とそういうのって…
撮影ならともかく、こんな観客の中ではマジ気恥ずかしい。
それはあいつも同じなようで。
お互い不自然な距離の『あ〜ん』だったな…。
あ、と口を開けると
思ったより酸味のあるイチゴが入ってきた。
「どう…甘い？」
俺をじっと見つめる熱っぽい目。
それはイチゴの甘さを問うているのか
それとも藤ヶ谷自身の甘さを問うているのか…
差し出された手を掴んだ。
フォークを離させ、引っ張って立ち上がらせる。
「これだけじゃ…甘いかどうか、わかんねぇ」
ずっと昔…お前との甘ったるい演出が苦手だったのは
気持ちを知られたら、もう一緒にいられないんじゃないかと怖かったから。
今苦手な理由は
あの頃より増している愛おしさが、周囲の人の目に映ってしまうのではと心配になるから。
しがみつく腕が
(早く確かめれば) と要求してくる。
噛みつくような唇が
(甘いの、甘くないの、どっちだよ)
イチゴよりも甘い舌を震わせ、答えを急かす。
「何、もっと食べさせてくれんの…？」
耳元で囁いてみても
お前はただ赤く色づいて、体温を熱くするだけだ。
なあ藤ヶ谷。さっきの質問に答えようか。
何年経っても、イチゴは……甘いよ。
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とも(プロフ) - こんにちは！リクエスト大丈夫ですか？ (2017年8月11日 13時) (
レス) id: 6b1b9c2bb0 (このIDを非表示/違反報告)
もふ(プロフ) - Kyamさん» ありがとうございます。そう言っていただけるとコソコソ書いた甲斐があります(笑) 本当に7人全員が可愛くて、この子だったらどう動くかしらと勝手に妄想するのが楽しいんですよ。よかったらこれからもコソコソ更新におつきあい下さいませ♪ (2017年8月7日 0時) (レス) id: 7096c68f9a (このIDを非表示/違反報告)
Kyam(プロフ) - キュンと優しさで溢れるもふさんのお話大好きでいつもほっこり癒されています(*´`)こちらこそコソコソ読ませて頂いておりますが笑、これからも更新楽しみにしています！ (2017年8月5日 12時) (レス) id: db906d4599 (このIDを非表示/違反報告)
もふ(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 我ながら随分なこじつけだなーとの自覚はあります(笑) Fさんは本来は感受性豊かなコだと思うし、メンバーはそれを知ってくれてると思うんですよね。ただ「織姫」ワードは自分でも書いてて照れました…今後ともぜひよろしくお願いします♪ (2017年8月4日 12時) (レス) id: 7096c68f9a (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - たまりません♪たいぴの涙をみた宮っちの語りも良いし･･千ちゃんのﾋﾟｭｱさはいつでも癒され･･羨ましいって言うたいぴにｷｭﾝと切なくなりました♪俺の織姫←ひぃぃ･･( ;∀;)って悶えました♪これからも楽しみにしてますっ (2017年8月2日 21時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふ
| 作成日時：2017年1月8日 0時
