誓いの手 K �� ページ25
**K
明るい陽射しがあるだけマシだが、さすがにスーツだけでは寒い。
角度を変えたり、ソロで撮ったり。出来上がりは短くても撮影時間は案外かかる。
結構ある待ち時間にも時折きつい風が吹く。
寒そうに手を擦っている姿が目に入った。
「今の間、コート着ててもいいですかぁ!？
寒がりなメンバーもいるんで！(笑)」
俺は大きな声でスタッフさんに声をかけた。
風邪が治ったばかりのあいつが心配だったからだ。
「助かるわー。ほら、太輔も着なよ」俺の意を察した横尾さんが、藤ヶ谷にもコートを渡す。
いつもどおり賑やかに冗談を言い合うメンバーから少し離れ、藤ヶ谷が教会の屋根を見上げているのに気づいた。
白く輝く神聖な十字架を、白いスーツに包まれたあいつが静かに見つめている。
さっきは何も答えず、だが立ち去ることはしなかった恋人が。
「あの、ラストのところなんですけど」
俺は監督にひとこと断りを入れ、撮影にのぞんだ。
階段に並び青い空に向かってブーケを投げる。色とりどりの花びらが舞う。
こんなこと普通の人生ならまずないよな。
男7人でブーケを投げるなんてさ。
夜まで続いた撮影も、ようやくOKの声がかかった。
これから2時間かけて帰らなきゃならない。急いで帰り支度をする。
「ねえねえ、なんでミツ、『ブーケ両手で投げていいですか？』って聞いたの？監督に」
「ミツ、ちっちゃいから両手なんだよね〜」
「うるせーよ(笑) ほら、さっさと行く！」
ニカ千がじゃれついてきた。ったく元気だな。
叩く真似をして2人を追いやる。
「…そうだったんだ。気付かなかった」
振り向くと、後ろに藤ヶ谷が立っていた。
「…へんなの」
そう呟き、通り過ぎようとした腕を掴んだ。
周りに誰もいないとはいえ普段ならしない行動に
驚いた表情で振り返る。
小さな声で囁いた。
「明日の夜、結婚式の続きしようか…」
青い空へブーケが届くよう、伸ばした両手。
あの片方はお前だよ。
俺達だけの思い出が1秒ずつ増えるほど…
俺は誓い、恋をするんだ。お前のいるこの世界で。
手を払って背を向けられた。
てっきり逃げられてしまうのかと思ったが…
「続きって、ケーキ入刀でもするの」
「え」
「それとも…誓いのキスから？」
意表を突く返しに今度はこちらが驚く。
あいつはクスッと笑い…そのまま行ってしまった。
やられた。
神聖な場所で最後にペロリと出した舌。
どうやら初々しい夜には、してやれそうにない。
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とも(プロフ) - こんにちは！リクエスト大丈夫ですか？ (2017年8月11日 13時) (
レス) id: 6b1b9c2bb0 (このIDを非表示/違反報告)
もふ(プロフ) - Kyamさん» ありがとうございます。そう言っていただけるとコソコソ書いた甲斐があります(笑) 本当に7人全員が可愛くて、この子だったらどう動くかしらと勝手に妄想するのが楽しいんですよ。よかったらこれからもコソコソ更新におつきあい下さいませ♪ (2017年8月7日 0時) (レス) id: 7096c68f9a (このIDを非表示/違反報告)
Kyam(プロフ) - キュンと優しさで溢れるもふさんのお話大好きでいつもほっこり癒されています(*´`)こちらこそコソコソ読ませて頂いておりますが笑、これからも更新楽しみにしています！ (2017年8月5日 12時) (レス) id: db906d4599 (このIDを非表示/違反報告)
もふ(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 我ながら随分なこじつけだなーとの自覚はあります(笑) Fさんは本来は感受性豊かなコだと思うし、メンバーはそれを知ってくれてると思うんですよね。ただ「織姫」ワードは自分でも書いてて照れました…今後ともぜひよろしくお願いします♪ (2017年8月4日 12時) (レス) id: 7096c68f9a (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - たまりません♪たいぴの涙をみた宮っちの語りも良いし･･千ちゃんのﾋﾟｭｱさはいつでも癒され･･羨ましいって言うたいぴにｷｭﾝと切なくなりました♪俺の織姫←ひぃぃ･･( ;∀;)って悶えました♪これからも楽しみにしてますっ (2017年8月2日 21時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふ
| 作成日時：2017年1月8日 0時
