不器用だけど (ページ15)

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私の家まで車で送って貰った。

「運転ありがとう。…じゃあね」

ドアを優しく閉める。じゃあねは龍斗くんの顔を見れて言えた。上手く笑えてたかな。
閉めたあとに反対側から開ける音が聞こえて龍斗くんが此方に来る。

すると、優しく抱きしめられる。少し戸惑ってると

『最後にするから、抱きしめさせて』

弱々しい声が上から聞こえる。龍斗くんだって不安だよね。そんな龍斗くんを元気づけたくて私も背中に手を回す。

抱きしめさせてなんて言うから泣きそうになるじゃん。本当に最後みたいで。龍斗くんの服の匂いが好きだとかやっぱり背中大きいねなんて私の顔は龍斗くんの胸ぐらいで、やっぱり身長高いんだよね、って

どんどん思い出して行く龍斗くんのことを。

そんなこと思い出したら離れるのが嫌になるじゃんか。でも時間は来るわけで、抱きしめられた後唇に長い間キスをされ、唇の感触だとか鼻がぶつかったり、涙目になる。これが最後だって思い知らされるようだから。

龍斗くんの方から離れて、笑顔で

『ありがとう。バイバイ』

と言って、車に戻り発進するのを見届けるけど、私は涙が溢れその場から離れることがしばらく出来なかった。

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