米花町の視える子。【名探偵コナン×呪術廻戦】

３１. ページ33

「さぁ、その扉を開けてください…その扉の向こうが貨物車です」

「…」

銃口を向けたまま貨物車へと誘導する安室。彼こそが、所謂黒づくめの組織の仲間でありコードネームは"バーボン"。灰原とは何か関わりがあるらしく、母親の事まで知っていた

大人の姿になった灰原は指示通り貨物車の中へ入る。その際シートで覆われた"ある物"を発見し、息を呑んだ

「ご心配なく。僕は君を生きたまま組織に連れ戻すつもりですから。ヘリでこの列車を追跡している仲間が君を回収するという段取りです。その間、君には少々気絶して貰いますけどね」

「大丈夫じゃないみたいよ…この貨物車の中、爆弾だらけみたいだし」

「！？」


この爆弾の仕掛け人は、意地でも灰原を消し去りたいらしい


「仕方ない…なら僕と一緒に来て貰いますか」

「悪いけど、断るわ」


そう告げて貨物車の扉を閉める。銃口を向けたまま彼女へゆっくり近づいていく安室だが、背後に人の気配を感じ振り返る


「ベルモットか…悪いが彼女は僕が連れて……っ！？だ、誰だお前は！？」


帽子を目深に被っているので顔はよく見えないが、僅かに垣間見える瞳に只者では無いことを察した。なんなら、この姿に見覚えがある…とも。



"彼が後ろを振り返ったら、5秒カウントするんだ。そして麻酔銃を打ち込む。出来そうか？"

"分かった。やってみるよ"




5…4…3…2…1………


『ゼロ！』

「…！？」


安室がこちらを振り向くより早く、彼の首筋目がけ麻酔銃を撃った。使用したのは"時計型麻酔銃"。工藤有希子が知り合いの博士から貰ってきたもの。その精度は高く、麻酔針は見事に命中したのだ

重心がぐらつき横に倒れる安室。頭を打たないよう身体を支えゆっくりと床へ降ろすと、瀬川は一目散に貨物車の方へと走っていく




『お兄さん！！お兄さんいるんでしょ！？』

「えっ…！？」


なんでそれを、と言いかけた灰原に化けた男性を引っ張り出す。無事に前の車両まで移動できたのを見計らい、瀬川は手榴弾のピンを抜く。そして連結部分へと投げ込んだ。


凄まじい爆発音と火薬の匂い。火傷を負わないように、と爆弾に被せてあったシートで安室、灰原もどき、そして瀬川自身の身を覆い隠す。連結が外れ貨物車が完全に離脱した瞬間…何者かが、遠隔操作で爆弾を爆発させた

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