米花町の視える子。【名探偵コナン×呪術廻戦】

３０. ページ32

「……どうして」

『…え？』

「どうして、私の為に命を賭けられるの。幾ら友達でも…あなたに私を助ける義理は無いはずでしょう」


その問いに、少しだけ迷った。瀬川は自ら危険な事に首を突っ込む程、命知らずでは無い。元々は安全な"普通の暮らし"を望んでいたはすなのに…



『……………灰原さんには、お姉さんが居たのかな？』

「！」

『その人が心配してるから…かな。勿論ずっと視える訳じゃないの。灰原さんがその人の事を思い出してる時、会いたいって思ってる時に。その人も会いたがってるから。だから近くに来てくれる』

「…つまり、どういうこと？」

『言ってなかったね。私はちょっとした特異体質を持った、ただの小学生よ』


なんて含みを持った言葉。灰原には何となく伝わったらしい。そのまま沖矢の方へと歩き出したが、また足を止める
あぁそれと…と。何かを思い出したように


『あと、灰原って苗字の人に！悪い人はいないから…かな』

そう言って、子どもらしく笑ってみせた


ーーー


ーー


ー


「彼女に変装出来そうな人物がいてね。ボウヤに交渉して貰っている最中なんだ」

『…変装した灰原さんが、わざと敵にみつかって』

「あぁ。後はお察しの通りさ」


その代役の人…大丈夫だろうか。一歩間違えたら自分が間違えて殺されそうだ。よっぽど逃げ慣れていないと

ちなみにこの沖矢昴も変装で、彼らと対峙する前なのに何故か変装を解き始めた。その方が都合が良いらしい。破り捨てた変装マスクを見て、爬虫類の脱皮を連想させる瀬川。考え始めたら負けである


「君はおびき寄せた敵を眠らせる。その役割を務めてもらいたい。ベルモットが直接手を下す可能性は低いから……恐らくバーボンだろうな」

『ベルモット…バーボン……お酒の名前？』

「あぁ。詳しいな」



特にウイスキーは、酒好きの友人に散々飲まされて二日酔いになった苦い思い出がある。嫌な意味でよく覚えているのだ


「これが小型の麻酔銃だ。麻酔の量は減らしてある。あと車両の連結部分を壊す手榴弾と、念の為に防具を付けるか…」

『ちょ、待って待って』


そんな、1人だけ武装しても。小学生に持たせるものじゃない。ツッコミどころ満載だが敢えて何も突っ込まずやんわりと断った

この町の常識がおかしいなど、今更の話なのだから。

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