米花町の視える子。【名探偵コナン×呪術廻戦】

１４. ページ16

伊地知に手を引かれ校舎から遠ざかる。正門前までやってきた所で彼が呪文を唱えた


「"闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ払え"」



帳が下りる様子をぼんやりと眺める。通常は中にいる人間を見えにくくし、呪霊を炙り出す為の結界だが…今回は住宅地の学校という事もあってか、縛りを科したのだ

一定の呪力を持ったものしか入れない帳。これは一般市民の侵入を防ぐという意味合いを持つ。瀬川が近くにいる以上、こうする他無いと考えたのだ。全ては彼女を巻き込まないため……



『……優しいね、相変わらず』

「え？」



空を見上げ懐かしそうに微笑んだ。

しかし暫く経って意を決したのか、表情が硬くなる。伊地知の背後を指して…こう叫ぶ



『あーっ！！！白髪のお兄さん！！！』


「えっ…！？！？」



もはや、伊地知の生存本能とも言える。顔が青ざめ後ろを振り返ったが……勿論誰かの気配は無い。
何か気に障ることをしてしまったか、もしくは気まぐれで上司にビンタされるところまでが脳を過った。とても心臓に悪い


「な、なんだ誰も…………ってあれ！？！？瀬川さん！？！？」


先程まで手を繋いでいたはずなのに、姿が見当たらない。好奇心旺盛な歳頃だからきっと近くで隠れているのだろう。周辺の建物を中心に探し回る伊地知だが……思いもしなかったはず

まさか瀬川が、"帳"の中に入ってしまった事など。



ーーー


ーー


ー



「……やっぱり1人は怖いなぁ」


一方こちらは乙骨サイド。帳の効果で溢れ出た呪霊に怯えながらも、廊下の真ん中を歩く

そんな中後ろから足音がするものだから小さく悲鳴を上げた。勢い余って里香ちゃんを出してしまいそう



『乙骨のお兄さん！』

「えっ………え！？！？瀬川さん！？何でここに！？！？」


にこやかに笑いかけ、乙骨の元へと駆け寄る瀬川。どうしてここに…というかどうやって帳の中を…とぐるぐる思考を巡らせたが、当然それらしい答えは思いつかない


「瀬川さん今すぐ引き返して…！ここは危ないから！」

『えーっ！私教室に忘れ物しちゃって……取りに行きたいのに』

「それなら僕が……は、はやく戻った方が…！」

『やだやだー！！！誰にも見られたくないノートなの！！！！！私も行くー！！』

「え、えー……」



乙骨の間を潜り抜け、半ば強引に奥へと進む。その瀬川を追いかけるように乙骨もまた、おぞましい気配の方へと歩を進めたのである

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