【wrwrd】知らない街を見下ろすだけ【逆ハー】 (ページ7)

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5話ページ7

(em*side)
ut「最後に何かあるやつおらんか？」
4地域の報告も終わり、大先生が力の入っていない声で呼びかける。
すると、西の女王様が小さく手を挙げた。
ut「ん、Aちゃん」
呼ばれた彼女は先ほどの堅い印象から、だいぶ丸くなっていた。もの柔らかそうな口調で申し訳なさそうな雰囲気で話し出す。
『毎年恒例のクリスマスの…』
あぁ、もうこんな時期かと手帳をヒラヒラとめくる。あまり行事ごとには関心はないがクリスマスだけは特別だ。
『みなさんぜひ来てくださいね』
冬は西の都のレッセンにて、マーケットやらイルミネーションやらたいそう豪華に催している。いつも忙しく働いている西の人たちにとって、年に一度のこの祭りはとても盛り上がる。
自分も毎年何かしら手伝いながら楽しんでいる。去年は確か場所の整備とか力仕事をだいぶ任されたな…。そしてあのせまっ苦しいAさんの店で夜があけるまで飲んだ思い出がある。
ゾムやコネシマは目を輝かせながら随分前のめりな姿勢でAさんの話を聞いていた。だが、隣を見るとどうだろうか。オスマンがつまらなそうに髪をいじっている。
os「寒いん時くらいゆっくりしたいわな～…」
自分だけに聞こえるようにぼそっと呟いた。これは遠回しに自分は行かないと言ってるようなものだ。
os「エーミールは行くんやろ？」
貼って付けられたような笑顔でこっちに顔を向けたオスマンからは花の匂いがした。彼の機嫌を損ねると非常に面倒くさいことは知っている。
em「さぁ…」
適当にはぐらかして、すぐさま彼の目線から抜け出した。向こうでは西と北の連中らが楽しそうに話している。くそ、なんで俺は隣のやつに縛られなあかんねん。