18話 ページ20
恐る恐る入って、目にした彼女はまさに自分の理想と同じ姿だった。ひとまわりもふたまわりも小さな彼女の背中は露わになり、自分には刺激が強いように思えた。
『あの、お名前って、えみさんってゾムさんから呼ばれてたので』
背中丸出しで聞くことちゃうやろ…。自分の目線をどこに向ければいいのかわからんくなるわ…。
em「エーミールと申します。でもなんでも呼びやすいように呼んでください」
『じゃあエーミールさん、歳上ですし、ね？』
"エミさん"と呼ばれる方がフランクで良かったな、なんてことを考えていたら彼女と鏡越しに目が合った。彼女は朗らかな笑顔で俺を見ている。ほんま参るわぁ…。当の自分の視線は泳ぎっぱなしだ。
『お願いしますね』
ファスナーを上げるためにわざわざ髪も上げ、綺麗なうなじも男としてそそるものがある。俺は割れ物を扱うように丁寧にあげた。冷静さを保てるように必死だった。
em「はい、出来ましたよ」
『ありがとうございます』
鏡越しでしか顔を合わせることが出来ないが、狭い空間に二人きりで彼女の姿を独占できたことが何より自分としては誇らしかった。
em「似合ってますね」
『エーミールさん、私、この服好きです』
em「ほんま…！？いや、嬉しいわ…」
自分もパタンナーなので、作った服を褒められると感激してしまうのが性分である。
em「あんな、ここはな複雑な縫い方してんねん。ラインを柔らかくするために。そこのレースはこだわったんよ？何種類も何種類も試して…」
シャーとカーテンが開いた。
ut「はい、ストップー」
2人の時間は簡単に壊されてしまった。
『あ、鬱さん』
ut「まったく、ウチのエーミールになんかされてへん？」
em「す、する訳ないじゃないですか！！」
『エーミールさんにファスナー上げるの手伝ってもらったんですよ』
em「せ、せやで！！」
ut「こ〜んな顔真っ赤にしてるから、何かあったと思ってもうたわ。すまんなエーミール？」
この男は皮肉屋である。しかも人を弄ぶのが得意なのだ。
zm「調節するからはよ来いやー」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1088人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハリヤマ(プロフ) - *＊緋奈＊*さん» コメントありがとうございます！並びに返信に遅れてしまい申し訳ないです！寒くなると上着も可愛くなってメイクも派手になるので素敵ですよね！頑張らせていただきますのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年11月17日 22時) (
レス) id: 5aa06bc1f4 (このIDを非表示/違反報告)
*＊緋奈＊* - 作品読ませて頂きました！主人公ちゃん可愛いです…、そしてsyp君かっけぇです…、秋って可愛い服増えますよね!ベレー帽とか! 季節の変わり目で体調崩しやすいので無理なさらないで下さい！応援してます！！ (2019年10月5日 22時) (レス) id: d503bc641e (このIDを非表示/違反報告)
ハリヤマ(プロフ) - 万雷の拍手を。さん» ありがとうございます！まだまだ序章に過ぎないですが、完結まで書ききれるようにがんばります。今後ともよろしくお願いします！ (2019年9月22日 14時) (レス) id: 5aa06bc1f4 (このIDを非表示/違反報告)
万雷の拍手を。(プロフ) - すごく好きな作風で感激しました。描写が丁寧で、キャラもしっかり立っていて読みやすいです。ゆっくりでいいので、最後まで書き続けて頂きたい、、！応援しています！！ (2019年8月27日 4時) (レス) id: daf68480a8 (このIDを非表示/違反報告)
ハリヤマ(プロフ) - 紫雨??さん» 読んでいただきありがとうございます。改行に関しましては私も気になっていたところでした。出来るだけ増やせるように努めますが、私も試行錯誤して作っているのでご期待に添えない部分があると思います。申し訳ありません。 (2019年8月23日 23時) (レス) id: 5aa06bc1f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハリヤマ | 作成日時：2019年8月14日 1時
