昔の恋 ページ23
久しぶりに風邪をひいて熱が出て…
「大丈夫か？」
心配してくれる親父に素直になれない俺。
ナミさんちに毎日行ってるらしいじゃん
俺には内緒で…
ハナちゃんに聞く前から
もしかして?とは思ってたけど
最近親父の機嫌がよかったのはナミさんに会ってたから？
昔ナミさんと何があったかも言わないし…
ずるいぞ！！
「ミンギュや、なんで最近機嫌が悪いんだよ？」
親父が聞いてくるけど、何て言えばいいかわからないし
腹が立つから口もききたくない。
「言わなきゃわかんないだろ？言ってくれよ！」
あーー、しんどい時に畳み掛けるなよ！
額に乗せてくれてた濡れタオルを親父に投げつけた。
「反抗期かよ…ったく」
親父はタオルを拾って立ち上り
氷水でタオルを濡らしてもどってきた。
「ナミのこと？」
俺の額に冷たいタオルを乗のせながら親父がつぶやいた。
なんだよ、わかってんじゃん！
親父がポツリポツリと話し始めた
ナミさんとは幼馴染だったこと
とても仲よくしていて将来は結婚しようと約束していたこと
「でも、お互い別の人と結婚したんだけどな」
初めて聞く親父の昔の恋の話
まさか相手がナミさんだったなんて。
「後悔・・・してる？」
俺の問いかけに親父は明るく答えた
「なわけないだろ？」
「どうして？」
「ナミと結婚してたら、俺はミンギュに会えなかったかもしれないだろ？
それはナミも同じ。俺と結婚してたら３人の娘たちに会えていないよ」
親父は俺の頭を撫でた
小さいころ、寝かしつける時にしてくれた懐かしい撫で方…
ヤバい…なんか涙が出そう
額のタオルをずらして目を覆った。
「それから…俺、フラれた！」
「は？」
びっくりしすぎて涙も引っ込むわ！！
タオルを外して親父を見ると泣きそうな顔で笑ってた
「フラれたぁ?」
「おう。子どもの時の約束を守りたいって言ったんだよ」
「ナミさん、なんて？」
「考えられないってさ！秒でフラれた！」
「へぇ・・・」
「安心したか?」
「いや、俺は別に・・・」
「まぁ、いいや！仕事に行ってくる！」
「行ってらっしゃい」
「おう！！」
いつものように親父は明るく出掛けて行った
まさか、ナミさんに告白してたなんて！！
俺は…どうしよう
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作者名：miel | 作成日時：2018年1月29日 17時
