moonlight2 (ページ16)

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「ウォヌ～」

ソヒの声がする

「なに？」
「あのね、大好き！」

無邪気なソヒの声に
俺も大好きだと答えようとした瞬間

ソヒが黒い雲に包まれる

今度は見失うわけに行かない

「ソヒ！ソヒ！！！」

名前を呼びながら闇の中を探すと
指先に人の気配を感じた
ぎゅっと握って引き寄せた人はAさんだった

「どうして？」
『センター長こそどうしたんですか？大丈夫ですか？』

うわっ、冷たっ

『ごめんなさい起こしちゃいましたね』

夢？

夢でソヒを呼んだけど声がでてたらまずい
聞かれたかな？

俺が眠ってる間、Aさんは
打ち上げの片付けをしてたらしい
1人でさせてしまって申し訳ないが幸いだった
たぶん聞かれてない...はず

本当にみんな帰ったら...
ひとりになったら倒れようと思ってた
迷惑かけられないからやりきろうと思ってた

『かっこつけすぎですって』

Aさんに言われて気づいた
1人じゃないんだって
みんないてくれるんだから頼ってもよかったのかもって

で...彼女はなぜ俺をずっと見てるんだ？

人の行動には必ず理由があると俺は思ってる

ソヒも俺のことをずっと見ていることがあって
「なんで見てるの」と聞いたら
ソヒは「好きだからだよ」と言った
何も見逃したくないと...

でも

『大丈夫かな～と思って』

当たり前だというようにAさんは答えた

そうか...そうだよな
具合が悪い人が目の前に居たら...

Aさんはソヒじゃない
何考えてたんだ俺

久しぶりに熱を出したせいだな
ずいぶん良くなったけどまだ頭がぼーっとしている

『センター長もしっかり寝てくださいね』

体が弱っているからか優しい言葉がありがたかった

「ありがとう...Aさんがいてくれてよかった」

弱っているからか素直にお礼を言えた気がする

Aさんの顔が一瞬赤く見えたのは気のせいだろうか？
うつってないといいけど...

『は...早く良くなってくださいねっ！』

慌てて出て行く彼女の背中を見送る

ありがとう
ほんとに