moonlight

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春にも嵐は来る


寝床にしていた遊具の中が濡れるくらい
横殴りの雨が続いた


濡れるのも嫌だし寒くて
バス停に避難することに決めた
とりあえず屋根はある

雨風がしのげる場所さえあれば
今の私には十分

バス停のベンチに座って壁にもたれて
スーツケースを足の間に挟んで
嵐をやり過ごすことにした


少し人の目が気になったけど
最終バスが行ったあとはとても静かで
椅子の硬さ以外はむしろ快適なくらいだった



「Aさん？Aさん？」

私を呼ぶ人なんていないはずなのに
誰かが私を呼んでいる


鳥のさえずりも聞こえるから
嵐も過ぎ去って朝が来たんだろう


『ん…？』

うっすら目を開けると
目の前にとんでもないイケメンがいた


ヨーロッパの教会の壁画から出てきたようなイケメン！
私は寝てる間に死んだのかな？
ここは天国？



「目が覚めた？Aさーん、おーい」

イケメンが私に話しかけながら手を振る

『はーい』

私も手を振り返した

「良かったー生きてた！」

イケメンは顔をくしゃっとして白い歯を見せた




うわぁー眩しい
イケメンが眩しすぎて私はまた意識を失なった

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