moonlight (ページ17)

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『すみませんっ！センター長！』

事務室の中の応接セットの向こうには

センター長とディノくん

真ん中のテーブルには壊れたメガネ…

分厚いレンズだ、きっと高いし

何よりセンター長は直るまで不便だろう

私は知っている謝罪の言葉を尽くして謝った

「どうしてあんなところに上がってたんです？」

ディノ君が尋ねても言えない

推しの動画見てたなんて言えるわけない

カムバ期だから供給が多いんですぅー

なんて言ったらどうなるだろう…

「はぁっ…」センター長はため息をつく

そうですよね、困りますよね…

あ、でもメガネしてないと雰囲気違うなー

などと思いつつぼーっと顔を見ていた

「何？」
『いえ…ごめんなさい』

「いや、もう謝らなくていいよ謝って壊れた物が直るなら別だけど…」
『あ。すみません』

「だから謝んなって」
『でも…』

謝るなと言われてもそれ以外の言葉は出てこない

「それにスペアあるから気にしないで」
『あ…はい』

「じゃ俺はちょっと仮眠する」

そう言ってセンター長は部屋に帰っていく

スペア？あるの？

それを先に教えてよぅー

この一件で3キロくらい痩せた気がするわ

冷や汗で…

「よかったですね！スペアあるって！」

ディノくんの明るさが救い

ありがとな

「あのぉー」

ディノくんが上目遣いにこっちを見た

『何？』
「あそこにいたホントの理由って…？」

『答えないとダメ…かな？』
「あ、あぁっいいんですけど…」

いいなら聞かないで

世の中にはねぇ
知らなくていいこともあるんだよ