orange3 (ページ29)

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再会～SN～ページ29

「Aをよろしくね」

Aの先生が俺の肩に触れた瞬間に

頭のなかで何かがぶわっと広がる
一瞬で目の前は真っ赤に染まって
口に広がる血と涙の味

もがき苦しむウジの姿
背中に感じる十字架の重み･･･

思い出したくないことが次々と波のように押し寄せた

何だ･･･この感覚･･･

かき消すように瞬きすると目の前ではAの先生が優しく微笑んでいた

この人は普通じゃない･･･怖い
でもさとられちゃいけない

「わかりました。さようなら」と答えて

Aと歩き始めた

『先生は優しいんだよ』

のんきな声でAが話し始める

「そう･･･いい人なんだね」

本当にいい人か？俺は信じられないけど…

「そういえば家まで送るのは初めてだね」

『１人で帰れるもんっ』

「まぁそうだけど、今日はちゃんと家まで送るから」

『ありがと、ここまがったらすぐだよ』

Aが言うとおりに角を曲がると

「あ！お～～い！A！」

お兄さんがこっちに走ってくる

『あ！ミンギュだ』

Aが言い終わるより前に
小さいAの体は駆け寄ってきたお兄さんの大きな体にすっぽりと包まれていた

『苦しいって･･･ば』

「ばかっ！心配してたのにっ！！あ、ありがとう送ってくれて！」

『ミンギュ...スニョン君にありがとうは？』

「それはAが言わなきゃでしょ？･･･ったくごめんねぇ」

お兄さんは大きな体を折り曲げて俺に頭を下げた

「いえいえ･･･見つかってよかったです・・・で･･･」

Aが先生と呼ぶ人の話をしようと思った矢先

がちゃっとドアが開いて家から人が出てきた

「ミンギュや、Aは帰ってきたか？」

『あ！ハニさん～ただいま～』

Aが今まで聞いたことのない可愛い声で名前を呼んで
飛びついた人は･･･

「･･･ジョンハン･･･さん？」

「お！久しぶりだなホシや、元気だったかい？」

俺の命の恩人だった