不機嫌な相棒 〜SN〜 ページ20
Aがお兄さんに連れて行かれてから
ウジは心ここにあらず…って感じ
せっかく来たのにろくに食べてもいない
ユリさんの好みでおしゃれなイタリアンの店じゃ
白飯がないからかな？
なわけないか…
「どうしちゃったんだろうね…A」
話しかけてみても口をとがらせて
むぅ〜っとしてる
「お口に合わなかった？」
ユリさんが声をかけてきたけど
「あ、大丈夫です」
ぶっきらぼうに答えるウジ
「おいしいですよ〜 とっても！」
とりあえず俺は笑って答えといたけど…
隣のウジを肘でつついた
「あ゛？」
「あ？じゃねーよ！大丈夫か？」
「うん…」
「なに？どした？Aのこと？」
「…新しい曲作んなきゃだろ？」
「あ〜」
そっか
そうだよな
「あ― 早く帰りてぇ 作業してぇ…」
ユリさんのご機嫌を取って盛り上がる大人たちには聞こえない
きっと俺だけに聞こえたウジの独り言
「あのぉ〜 すみませーん！」
俺は出来るだけ明るく言って立ち上がった
「俺たち帰って作業したいんで お先に失礼します！！」
挨拶をしてからウジを連れて店を出ると
大きいため息をついた後
「ありがとな」
ウジが言った
「何言ってんだ！さぁ帰るぞ！！」
「おう」
タクシーの中でも、家に帰ってからも
ウジは一言も話さず部屋にこもった
ホシ俺たちが悪いわけじゃないんだ
胸を張ってればいい
無理すんなよ
送ったメッセ―ジには
すぐに既読の文字がついたけど
返事は帰ってこなかった
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作者名：miel | 作成日時：2019年2月15日 16時
