７．清拭 ページ7
休憩は先組と後組にわかれており、私は入院の手続きもあったので後休憩だった。
休憩が終わると同時に、温かいタオルを2枚ほど保温バッグに入れて詰所をでた。
向かった先は203号室の3番ベッド、窓際の部屋。
そこへ入ると、同室のお爺さんと楽しそうに話す夏油さんの姿があった。
「あ、Aちゃん！！えらいイケメンの兄ちゃんがきたもんやなぁ！！」
「ワシら霞んでしまうノォ！ハッハッハ！」
「そんな事ないですよ、皆さんの年齢を聞いて驚きましたから、ね、Aさん！」
こいつ、さっき私が歳上だと思ってたって言った事根に持ってるのか…？
だめよ、ダメ！仕事だ仕事…笑顔カムバック！！
『そ、そうですねー！じゃあ、夏油さん、もうすぐ医師達がギプスをはめに来てくれますので、その前に綺麗に拭かせていただきます』
そしてカーテンを閉めた。
『右腕だけ少し触りますね』
「はい…服、脱ぎましょうか？」
『あ、いや右腕だけで結構です』
なんだか気まずい…同世代の男性は珍しく、意識のある人は新人の頃に先輩と担当した以来だった。
平常心、平常心…これは仕事よ。
自分自身に言い聞かせながらタオルを取り出し、温度を確かめる。
『じゃあ拭いていきますね。熱かったら言ってください。あと少し持ち上げるので痛みがあればすぐに教えてください』
「わかりました」
『本当はご自身でしていただくのがいいのですが、結構派手に折れてるので今日はこちらでさせてもらいます。しばらくは洗うことができないので、指先もしっかり拭かせて下さいね』
そして指先から順番にタオルを滑らせていく。
指の間にタオルを滑り込ませていくと、突然夏油さんの肩が揺れた。
「ーっ！！」
『あ！すみません、痛かったですか？！』
「いや、違います、えーっと、大丈夫です…」
『？また何かあったら言ってくださいね』
やっぱり痛いよね、何たって受傷したの今日だしね…
なんて考えながら慎重に腕を拭きあげる。
その間夏油さんは窓の外をずっと眺めていた。
この時私は途中からカーテン越しに人がいることには全く気付かなかった。
「クククッ、傑が病人っぽいよ！」
「先生声大きいです、バレちゃいますよ！！」
「夏油さん、心なしか顔が赤いような気も致しますが…」
「あー、ほんとだ〜！いいネタできたね♪」
この後賑やかな訪問者と出会うことになるのでした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 259人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yoku(プロフ) - Nekoさん» ありがとうございますw (2022年7月13日 6時) (
レス) id: 24eb35b20b (このIDを非表示/違反報告)
Neko - 面白すぎて..チィーンw 夏油寂しそう...w (2022年7月12日 22時) (レス) @page4 id: 87f128d50e (このIDを非表示/違反報告)
yoku(プロフ) - 夢楽笑さん» コメントありがとうございます！夏油さんのイジられる話が好きすぎてw完結までもう少し、頑張ります！ (2022年7月4日 9時) (レス) id: 24eb35b20b (このIDを非表示/違反報告)
yoku(プロフ) - 小宮瑠璃さん» お返事遅くなり失礼しました。ジャーナリスト！候補に入れさせていただきます(^-^) (2022年7月4日 9時) (レス) id: 24eb35b20b (このIDを非表示/違反報告)
夢楽笑(プロフ) - 夏油さんふびんwww主人公と夏油さんの距離感ドキドキです！頑張ってください〜！ (2022年7月4日 9時) (レス) @page31 id: 91488f7b93 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yoku | 作成日時：2022年6月16日 18時
