37．あなたに会いたい ページ37
あれから一週間。
何事もなかったように、普通の日常をすごしている。
夏油さんが急に退院したことも、どうやら院長のような上の人に組織的な何かが働いていたらしく、特に問題にはならなかった。カルテのデータも全て消されていた。本当に、別世界の人なんだと改めて感じさせられた。
ただ一つ、変わったことがあった。
＊
「俺、好きだよ。Aちゃんの事」
『…へ？』
夏油さんが退院した数日後に神山先生にそう言われた。帰り道に呼び止められたんだ。初めは論文の対象をまた探し直す手伝いでもさせられるのかなと思っていたが、違った。
「ようやく一区切りついたんだ。周りにも認められてきた。ずっと言いたかった事を胸を張って君に言える。俺と付き合って欲しい。そして、その先も…」
『あ、え、、』
あまりに突然のことで困っていると、返事はまた今度でいいと言って去っていった。よく絡みにくるなとは思っていたけど…全然気づかなかった。去り際まで相変わらず爽やかな人だった。
戸惑っていたのは事実だが、妙に頭は冷静だ。
きっとあの人と一緒になれば、生活にも苦労することは無い、絵に描いたような幸せが待っている。
研修医の時から見てきたが、少しチャラそうに見えるけど、それは見かけだけで誠実な人だという事は知っている。
普通に付き合って、結婚して、子供ができて、休みの日はお出かけして…たまに旅行に行って…。
全てが容易に想像ができた。
きっと、こういうのが幸せなんだ。
なのに、返事が返せない。
あれから4日、私は神山先生から逃げていた。
『夏油さん…』
たった2日の出来事なのに忘れられないなんて。
あの時触れた唇をなぞった。
会いたい。
会いたい。
会ってどうするんだと聞かれたらそれまでだけど、それでももう一度、会いたい。
ふと病室の窓から外を見る。
『え、、、なんで？』
病院に向かって走る一つの人影。
この一週間忘れたくても忘れられなかった人。
考えすぎて幻でも見たのかと思った。
きっと、見間違いだ。
だけど、どこかで望んでいたんだ。
私は急いでナースステーションへ戻った。
『…ス、すみません！あの、あの10分だけ、10分だけ休憩をく……』
師長とリーダーにお願いしようと事情を説明したとき、周りが騒がしくなった。
そして聞きたかったあの人の声。
「Aさんっ！！！」
『…っ夏油さん！！！』
師長が背中をポンッと押してくれた。
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yoku(プロフ) - Nekoさん» ありがとうございますw (2022年7月13日 6時) (
レス) id: 24eb35b20b (このIDを非表示/違反報告)
Neko - 面白すぎて..チィーンw 夏油寂しそう...w (2022年7月12日 22時) (レス) @page4 id: 87f128d50e (このIDを非表示/違反報告)
yoku(プロフ) - 夢楽笑さん» コメントありがとうございます！夏油さんのイジられる話が好きすぎてw完結までもう少し、頑張ります！ (2022年7月4日 9時) (レス) id: 24eb35b20b (このIDを非表示/違反報告)
yoku(プロフ) - 小宮瑠璃さん» お返事遅くなり失礼しました。ジャーナリスト！候補に入れさせていただきます(^-^) (2022年7月4日 9時) (レス) id: 24eb35b20b (このIDを非表示/違反報告)
夢楽笑(プロフ) - 夏油さんふびんwww主人公と夏油さんの距離感ドキドキです！頑張ってください〜！ (2022年7月4日 9時) (レス) @page31 id: 91488f7b93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yoku | 作成日時：2022年6月16日 18時
