32．物語の主人公(3) ページ32
私、死ぬのかな…
手が痺れてきた。足の感覚もわからない。
締められた首が痛いという感覚はもうなくて、ふうっと意識が遠くへ離れていく。
助けて…そう本能で願った。
ドガァンッ！
次の瞬間、私に馬乗りになっていたはずの呪霊は、その凄まじい音と共にどこかへぶっ飛ばされていた。
ヘビ？竜？え、ムカデ？？！
なんだかわからない長いものが空中に浮いている。この大きな生き物？が彼女を私から引き剥がしてくれたのだろう。
ってかこんなに広かったかな廊下ってってぐらいムカデみたいなやつはデカかった。なのに人間の順応性は素晴らしいもので、こんなもんだと受け入れている自分に驚きもしなかった。
そして、助けてくれたソレの先には、あの人がいた。
「遅くなってごめんね」
夏油さん…優しいあの笑顔に安堵し，さっきまでの苦しさがスゥッと抜けていく。
するといきなり体が宙に浮く。私は夏油さんに抱えられ、廊下の端の方へゆっくり降ろされた。
「すぐ済むから待っててね」
そして私に背を向け、呪いに向かい合った。
大きな背中越しには、先程まで私に泣いて何かを訴えていた彼女がゆらゆらと立ち上がっていた。
なんだろう、どこかで見た事があるような気がする。
普通に歩いていたら人と間違うほどに、彼女は完璧に人の形をしていた。
「一級、ってとこか…さぁ、はじめようか」
"ヴァぁァァ"ア"ア"ッ！！"
折れていたはずの腕をぐるんと回し構える夏油さんに、突っ込んでいく彼女はすごく怒っているように見えた。それをひらりとかわし、直接蹴りを入れる。すかさずムカデが彼女を襲う。
バシッ、ゴッ、ザシュッ
今までバトル漫画や映画でしか聞いた事が無いような激しい戦いの音が幾多に鳴り響き、あまりにも非現実的すぎて私はここには居ないんじゃないかって思えた。
夏油さんの顔はここからはよく見えない。だけど、物語の主人公ってこんな感じなのかなって思うぐらい、強くて、かっこよかった。
彼女の顔はよく見えた。いや、なんどか目が合ったんだ。
段々と立てなくなっていく彼女の顔は、泣いていた。
その顔で思い出す。
昔、その子に会っていたことを…
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yoku(プロフ) - Nekoさん» ありがとうございますw (2022年7月13日 6時) (
レス) id: 24eb35b20b (このIDを非表示/違反報告)
Neko - 面白すぎて..チィーンw 夏油寂しそう...w (2022年7月12日 22時) (レス) @page4 id: 87f128d50e (このIDを非表示/違反報告)
yoku(プロフ) - 夢楽笑さん» コメントありがとうございます！夏油さんのイジられる話が好きすぎてw完結までもう少し、頑張ります！ (2022年7月4日 9時) (レス) id: 24eb35b20b (このIDを非表示/違反報告)
yoku(プロフ) - 小宮瑠璃さん» お返事遅くなり失礼しました。ジャーナリスト！候補に入れさせていただきます(^-^) (2022年7月4日 9時) (レス) id: 24eb35b20b (このIDを非表示/違反報告)
夢楽笑(プロフ) - 夏油さんふびんwww主人公と夏油さんの距離感ドキドキです！頑張ってください〜！ (2022年7月4日 9時) (レス) @page31 id: 91488f7b93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yoku | 作成日時：2022年6月16日 18時
