87.ハンター試験の兄妹 ページ42
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クラピカさん達と離れ、一人で未だ調子の回復する様子のないキルを見ていると、先程までヒソカさんと何やら話していたイル兄がこちらへ歩いてきた。
昔仲が良かった自信はあるし、自分にとって今でも大好きな兄弟の一人である彼だが、ただでさえ八年ぶりな上やはり先程のことを思うと緊張してしまう。
「A」
「あ……あぁ、イル兄」
「今までは正体ばらすわけにはいかなかったし、さっきもキルのことで忙しかったから言えなかったけど……久しぶりだね。元気にしてた？」
「うん。イル兄も……今はあんなだけどキルも、元気そうで良かった」
相変わらず抑揚のない声だが、多分純粋に心配してくれていたのだろう。いつになく普通の家族らしいその言葉に、私も素直に本心で返しておいた。
「それにしても、キルに続いてAまで試験を受けに来たなんて。……キルはハンターになりたかったわけじゃないなんて言ってたけど、Aはそこのところどうなの？」
「……え、えっと」
いきなり触れられたくないところを突かれた。お父さん達に成長した証を見せたいから――とは、キルの余裕っぷりをさんざん見た上にあんな合格の仕方をした以上あまり言いたくない。
とはいえどうせこの人には嘘なんて通じないんだ、腹を割ってしまおう。自分では嘘つけない割に、見破ってくる確率はやたら高い。
思っていたことを赤裸々に話すついでに、家を出てから今までのことも簡単に語った。
イル兄はリアクションこそ薄いものの話を口も挟まず聞いてくれた。さっきとは大違いだなぁ、と思いつつももちろん口には出さない。
「へー。Aも結構苦労が多いんだ。ただ」
「ただ？」
「キルと“友達”として接してたのはいただけないな。お前一人が友達を作るのはまぁいいさ、オレも今更縛るつもりはない。けれど――正体を隠すためとはいえ、キルに余計に勘違いさせるのは良くない。自分にも友達と一緒にいる資格がある、なんて……ね」
「――……」
厳しい言葉に、思わず口を噤んだ。
「ま、今はもうお前の正体を知ったわけだし。今更そのことを責めたってどうしようもないしね」
言いつつ遠くのキルを見るイル兄は、こころなしか機嫌が良いように見える。
――やはりこの人がキルに向ける感情の中に、悪意なんてものはひとかけらもない。
だからこそ、言いたいことがあった。
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くぅつか(プロフ) - キラさん» コメントありがとうございます！ 更新本当に遅くなりますがそれでも良ければお付き合いください！ (2019年1月3日 18時) (
レス) id: d6e249ddc4 (このIDを非表示/違反報告)
キラ(プロフ) - とっても面白いです！！とても続きが気になります！更新されるのを楽しみに待ってます！頑張ってください！！ (2019年1月3日 15時) (レス) id: 4b08e8e764 (このIDを非表示/違反報告)
くぅつか(プロフ) - C＠音さん» コメントありがとうございます！ そう言っていただけて嬉しいです、更新できる限り頑張ります！ (2018年8月31日 22時) (レス) id: d6e249ddc4 (このIDを非表示/違反報告)
C＠音 - はじめまして！一気読みしましたが続きがきになって仕方ありません！更新頑張ってください！ (2018年8月29日 14時) (レス) id: ce7a2e00eb (このIDを非表示/違反報告)
くぅつか(プロフ) - 月翔×ミオさん» コメントありがとうございます、励みになります！ これからも頑張ります〜 (2018年8月23日 22時) (レス) id: d6e249ddc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くぅつか | 作成日時：2017年10月5日 18時
