56.ハンター試験の受け渡し ページ11
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お互い無言。空気は張りつめていく。
もしこの人が他の技も使える念能力者なら逃げるしかないが、そうでないならこれはチャンス。
彼のプレートを奪うことができれば、所持点は5点になり、手に入れるのはあと一枚でよくなる。
流石に残りの期間で一人くらいなら見つけられるだろうし、もうこの試験は通ったも同然だ。
……ただ気になるのが、用心深そうな彼が全く臨戦態勢に入ってないこと。
視線の先を私の鞄と表情と交互に移し、困ったような顔をしているだけだ。
それでも私は警戒を続ける。
あんな絶を見せられて誰が彼相手に油断できようか。
……動かない。
……微動だにしない。
少しして、彼は仕方ないなぁとでも言いたげな様子で両手を上げた。
予想外の行動に驚き、思わず毒気を抜かれてしまう。
「オレは戦いに来たんじゃない。あんたと交渉がしたいのさ」
「こ、交渉」
これまた予想外だった彼の言葉を復唱すると、相手はあぁ、と言葉をつづけた。
「警戒しないでくれって言っただろ？ そう、れっきとした取引だ。オレもアンタも得できる」
「取引って……」
「勿論、プレート同士の交換さ。オレは二点分の代わりに三点手に入れる。アンタは一点の代わりに二点分手に入れる」
言いつつ彼が懐から取り出したのは二枚のプレート。
目を凝らしてよく見ると、それぞれ198、362の番号が入っていた。
……あぁ、なるほど。
「……うん、確かに私にとってもありがたい提案ですね」
本当に害意がないことを確認しつつ、先程しまいこんだ197のプレートを取り出す。
それから相手の目の高さに掲げると、彼は二つのプレートを地面に置いて一歩下がった。
「じゃ、交渉成立ってことで。アンタはそれを持ったままこっちに来て、このプレートが本物かどうか確かめてくれ。確認次第197番のを地面に置くと同時に198番と362番を持って離れろ」
「わかりました」
彼が提示した交換方法だと、私が裏切って三枚全部のプレートを持ち逃げしてしまうリスクがあるはずだけれど……、
一応信用してくれているのか、私をねじ伏せる自信があるかのどっちかだろうなぁ。
とにかくこれは私にとって全くデメリットのない方法だ。
ゆっくりとした動作で、彼の言う通り動く。
何事もなく、粛々とそれは行われた。
彼は満足げに手の中のプレートを眺める。
「交換も成立。そうそう、オレはこういうもんだ」
「えっ」
「じゃあな」
つい先程まで彼がいた所には、一枚の名刺だけが残っていた。
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くぅつか(プロフ) - キラさん» コメントありがとうございます！ 更新本当に遅くなりますがそれでも良ければお付き合いください！ (2019年1月3日 18時) (
レス) id: d6e249ddc4 (このIDを非表示/違反報告)
キラ(プロフ) - とっても面白いです！！とても続きが気になります！更新されるのを楽しみに待ってます！頑張ってください！！ (2019年1月3日 15時) (レス) id: 4b08e8e764 (このIDを非表示/違反報告)
くぅつか(プロフ) - C＠音さん» コメントありがとうございます！ そう言っていただけて嬉しいです、更新できる限り頑張ります！ (2018年8月31日 22時) (レス) id: d6e249ddc4 (このIDを非表示/違反報告)
C＠音 - はじめまして！一気読みしましたが続きがきになって仕方ありません！更新頑張ってください！ (2018年8月29日 14時) (レス) id: ce7a2e00eb (このIDを非表示/違反報告)
くぅつか(プロフ) - 月翔×ミオさん» コメントありがとうございます、励みになります！ これからも頑張ります〜 (2018年8月23日 22時) (レス) id: d6e249ddc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くぅつか | 作成日時：2017年10月5日 18時
