ゾルディックとは名ばかりです。【HUNTER×HUNTER】 (ページ49)

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45.ハンター試験の遅い夜ページ49

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「くそー、こんなに難しいとは思わなかった」
「ゴン君、今日はもう休んだ方がいいよ」

流石に疲れてしまったのだろう、ゴン君は肩で息をしながら倒れこんでしまった。
私は串に刺さった魚をぐるぐる回しながら、彼に声を掛ける。

「……うん、明日のために体力温存しないと」

あんまり無理しないでね、と小声で言いつつ、私にしては上手に出来上がった焼き魚を渡した。
ゴン君はあっという間に平らげてしまう。うんうん、いい食欲だね。

「ありがとうスィス。ところでさ、スィスはプレート集める目処ついてるの？」
「あー……どうだろ、実は全然ターゲットから奪う算段なくてさ」

苦笑いして答える。
何しろ相手はあのギタラクルさんだ。ヒソカさん並みに難易度高いだろう。
私には絶望的だよなぁ……出来る限りのことはやってみるつもりだけれど。

「そっかぁ……相手の居場所さえわかんないんだもんね」
「だね……」

ため息をついて、ごろんと地面に寝転がった。
ゴン君もそれに並ぶ。

「星沢山見えるね、こういうのは孤島ならではだね」
「うん。くじら島の夜空にそっくり」

……？くじら島？

「あっ、くじら島って言うのはね。オレの故郷なんだ」
「へぇ～ゴン君の……どんなところなの？」
「あっ、聞きたい!? えーとね田舎だけどすごく自然がいっぱいで――でも子供は僕とノウコしかいなくて学校も――」

パッと表情が明るくなり、すごいマシンガントークが始まった。
随分と嬉しそうだ。好きなんだろうな、本当に。

そういえば船の中での私ってこんな感じだったのかも……は、恥ずかしい。

くじら島の話はとどまるところを知らず、どんどん夜は更けていった。

「……時々女だけの漁船が来て……中には年下じゃないと……ダメって人……が……」
「へ、へえぇ……あ、ゴン君」

ゆっくり私の方へ倒れこんできたゴン君を、慌てて支える。
疲れのためか、流石に眠ってしまったようだ。
小さな寝息をたてる彼。
体温を感じつつ、音を出さないようそおっと地面に横たわらせる。

目を離したくないけれど、安全に眠れるところ準備しないとな……
周りの草を利用してゴン君を隠してから、私はカッターを手に立ち上がった。