ゾルディックとは名ばかりです。【HUNTER×HUNTER】 (ページ48)

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44.ハンター試験のサバイバルページ48

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……なんかカッコイイコト決意してきちゃったわけだけれど。
実際にこの状況下に置かれてみると、かなり怖いな。

私が島に上陸してから、もう20分は経っているだろう。
いつ誰に襲われるかわからない状況。絶対に警戒は解けない。
これが一週間も続くとか、ストレスで死ぬかも私……

あーもう、死にはしないぞって決めたばっかなのに何してんだ私は。

「……とりあえず、水と食糧を確保しないと」

水は一応ペットボトルの半分ほど残っているが、これで一週間過ごすなどとてもできない。
食糧もおやつの飴と板チョコだけ。

まず川を目指すべきかな……

－－－－－－－－

姿を隠しつつ、おもむろに歩き回っていると、運のいいことに大きめの河を見つけることができた。
すぐ近くに身を隠すのに最適な鬱蒼とした林もあるし、とってもラッキーだ。

近くに誰もいないことを確認してから、河に近づく。
……水は綺麗だ。まともな風貌の魚もいる。

この分だと、おなかの事情については安泰かな。
心の底から安堵して、どこか滞留できるところを探そうと振り返った。

……

「あ……」
「や、やぁスィス」

……目が合ったのはゴン君だった。
草陰から顔だけ出した状態で、少しとぼけたような顔。
多分今の私も似たような表情をしてるだろう。

「ゴン君……び、びっくりしたぁ」
「会えてよかったー。あ、オレのターゲットはスィスじゃないよ」

少し間をおいて、ゴン君はふにゃりと表情を和らげた。
彼はクジを見せつつ、草むらから離れこっちに近寄ってくる。

「私も違うよ……っていうかその番号」

ゴン君のクジに書かれた数字は――44。
え、これって。

「うん、ヒソカの番号。びっくりしちゃうよね」
「ゴン君……」
「今から特訓しようと思ってたんだ。この釣竿で、アイツのプレートを奪うために」

先程とは打って変わって真剣な顔。
……多分この子の中には、ヒソカさんに挑戦するのを諦めて1点分のプレートを集めようなんて選択肢ないんだろうな。

ゴン君は釣竿を構え、鳥に狙いを定める。
簡単に避けられたが、残念がる様子は全く感じられない。

やっぱりゴン君は、普通とは違う。

「たっ」
「とう」
「それっ！」

「…………」

結局その日は日が落ちるまで、彼の特訓を眺め続けることしかできなかった。