甘くなかった ページ23
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消灯時間まであと一時間。
この時間は基本的に寝る準備、または一日の振り返りの時間であり、外に出ることはあまりいい行動とは言えない。かといってルール的にも曖昧にされているためいざとなった時の言い訳はこの一時間の間でなら使用可能。しかしまだ高校生の彼らにとって夜に抜け出すというのは「不純極まりない行為」と、このホテルに泊まる際に教師たちが注意を呼び掛けていたので、あまり目立った行動をするのも気が引けるはず…。
まぁ、現在進行形で合流場所にルンルン気分で足を進めているこの女、イ・Aにはそんなことを考えている余裕も頭もないのだが。今はただ、最愛のハン・ジソンへ改めて自身の想いを再確認させることに命を懸けている。(否、懸けるところである。)
「っふふ、」
ゆるむ口元を一生懸命保とうと励みながら集合場所へと向かう。
あの初デート以降、少しずつではあるが彼との距離が縮まっていくのに喜びを感じていたAは、今回チョ・イェナのことにとてもショックを受けていた。どれだけお互いの距離が縮まったとしても、一緒にいなかった3年分の思い出というのはどうしたって埋められるものでは無い。更にそれが"彼女"という今自分が置かれている立場であれば尚更。
だからこそ、鈍感な彼に、伝えるのだ。
これから、直接会って。
「…??」
まがり角から、男女の声が聞こえてくる。
心做しか聞いたことのある、心に落ち着く少し低めの声。
「ー〜〜、」
「ー〜ー、〜〜！！」
「(言い争ってる……、?)」
そっと、角から様子を覗く。やはり男の方はハンジソン。女の方は、彼に被さって見えない。女は周りに比べて決して高いとは言えない彼よりも、さらに20�僂曚苗磴た板垢函�緩く巻かれた明るめの低めのツインテール。体格と雰囲気を見ただけでも彼女がきっと抜群に可愛いことが窺える。
2人の会話に、神経をとがらせる。
??「おねがい！1枚だけ、ね？」
HN「いい加減にしてよ…」
??「せっかく偶然会えたのにぃ…いいじゃん写真1枚くらいっ。ジソンアのパボ！」
HN「大声出すなよいちいち、何でもいいから早く部屋戻れって」
??「んもぅ！ケチッ！！」
女が諦めたのか会話をやめ歩き出す。
「(やば、こっち来る…！！)」
「(仕方ない…通行人のそぶりをしてとぼけてしまえ…！)」
意を決して角から飛び出すA。すると肩が何かにあたった。視線を下げる。
??「あれ？イ・Aちゃんじゃん！」
……どちら様だろうか？？
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作者名：>< | 作成日時：2023年12月14日 23時
