【刀剣乱舞】政府から審神者に人事異動することになった (ページ37)

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３６話ページ37

器具を側に置き、正座する。横になっている小夜は辛そうな表情で息をしていた。
宗三に許可を貰って小夜の刀を手に持つ。しっかりとした、重さは感じる。が…やはりどこか冷たくなりかけていた。

付喪神としての生命が欠けてきている為だな。

鞘から抜けばボロボロで所々血のこびりついたままの刀身が現れる。外から入ってくる日光を鈍く反射していた。

「…宗三。小夜はすぐに終わらせる。アンタも手入れ受ける準備しときな。ここまで来て、矢ッ張り受けない、だなんて通じないからねェ？」
「分かってますよ。そのくらい。……第一、僕が万全の状態じゃ無いと…お小夜を守れませんし」

刀身に指を這わせては少しずつ霊力を注ぐ。霊力の反動で逆に傷を与えてしまわない様に。ゆっくりと。

少しずつ、刀剣が温もりを取り戻しているかの様な気がした。あとは、器具で手入れを行う。

数回打粉を叩き、それを拭き取る。何回かそれを繰り返して、漸く元の輝きを取り戻した小夜左文字の輝きは美しい物だった。

きちんと鞘に入れ、布団で横になっている小夜の枕元にそっと、置いておいた。

「もう少しすりゃあ、時期に目が覚めるよ。ほら。刀を出しな。アンタの番だよ」

「疲れないんですか？…手入れ、少なからず霊力は消費するでしょう。大分重傷寄りだったお小夜をあの短時間で直したすぐ後に僕の事ことを出来るんですか？
あの人も、霊力の消費は疲れるから、と手入れを好まなかった。」

……あの人、というのは…先刻の審神者だろう。自身である一振りをぎゅ、と握りしめてこちらを見る宗三の目には憂いが陰っていた。

矢張り、人の世は狂ッてるらしい。何が彼をここ迄にしたのか、人の、愚行だろう。
人の顔色を伺うのは良い。必要なスキルだ。然し…極度に伺い、相手に流されるのは、あってはいけない事だ、と私は思う。

政府に就き、もう結構経つ。さらには課長までに上がり、審神者という職に人事異動させられた。
審神者の数は年々減っている。今はどんなに霊力の質が悪くても、受け入れるつもりか。政府は。神々を侍らせるのに、下等な人間で良いはずがない。
……つくづく、呆れるな。

「…これでも、もともとは政府の人間だ。そこらの審神者より人一倍、体力と忍耐力は付けてる。こんくらいで屁張ッてちゃあ、審神者も政府も務まらんさ。
ほら、分かったらお出し。きちんと治してやるさ。宗三、左文字」

ニヤ、と笑みを浮かべて彼に手を差し伸べた。