怪盗、歌姫、ミュージカル【怪盗キッド/黒羽快斗】

20 嫉妬、困惑、公開練習16 ページ20

「それに関しては私も黙っていて頂けると嬉しいですね……」
京極くんの名前が出た途端キッドの顔が引きつった。あ、そういえばキッドと京極くんもライバル的なあれなんだっけ。忘れてたけど、もしかしてこれは使えるのでは、なんてつい考えた時だ。


「───結局、Aちゃん自身はどう思ってるの？」


「へ？」
突然春田さんから質問が飛んできた。思わず目を丸くして間抜けな返事を返してしまう。全員の視線がこちらへと向いた。
「そうだよねー、僕も気になるなあ？Aおねーさんはキッドの事どう思ってるの？？ね、蘭ねーちゃんも気になるよね！」
「え？そ、そうだね。確かに……どうなの？A」
コナンくんが無邪気に問いかけてくる。突然話を振られた蘭も目を丸くしながらも頷いてはこちらに問いかけてきた。私は困惑した表情を浮かべる。
「え、ど、どうって。どうも何も、正直そういう風に見られてるとは思ってもなかったから……」
「じゃあ、Aは？？Aはキッド様の事どうみてたの？？」
聞かれても困ると思いながら答えると園子に問い返されて目を丸くする。
「さっきも言ったかもだけど、エンターテイナー的な意味では尊敬してるし憧れではあるよ？」
「それは聞いた。じゃあそうじゃない所では？エンターテイナーをとっぱらって」
坂田さんが更に詰めてくる。そうじゃないところって何……！？
「そうそう、ほら、色々あるじゃない。容姿とか、性格とか、普段の立ち振る舞いとか、今までに色々見てきたでしょ？」
「えええ？えーと……そうだね、容姿は……見たままでかっこいいよね。性格とか立ち振る舞いは今別人を見てるのかなっていう印象だけど、少し前まではすんごく紳士だったし辛い時は沢山元気付けてもらったし何より歌えるようにして貰ったし……マイナスな印象は一切ないけど……私に対してだけではないと思ってたから……」

「──ほーら言わんこっちゃない、日々の振る舞いを見直すんだな」
「うるせーぞ名探偵。正体バラすぞ」

私の言葉にぼそりと呟きあうコナンくんとキッド。何を言ったかまでは聞き取れなくて首を傾げていると、蘭が更に問いかけてくる。
「なるほど。でもそれが特別な感情から来るものだって言うのは今わかったんだよね？じゃあ、それに対してはどう思う？困る？嫌？それとも嬉しい？」
「それに対して……」
どう思っているか。さっき公開練習前に言われた時の事をふと思い出す。そういえば、あの時──

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