最強メイドちゃん【wrwrd】【日.常.組】

第17話 ページ22

〜視点なし〜


広大な敷地の中の広大な屋敷の中の広大な庭で、一組の男女が談笑していた。


年は10かそれくらい。


少女の方は背が高く、くるくるの水色髪。

少年の方は優しく微笑んでいて、なかなか整った顔。




と、少年が口を開く。


『……やっぱり、眼鏡をかける気は起きないのですか？』


すると、頰を膨らます少女。



ci「…やって、あの眼鏡、皆んなに笑われんねんもん……。」






〜貴方視点〜


わた……僕の目の前で、不満げに俯く少女。

その背は年のわりに高く、下手したら僕より大きい。



この人は僕の婚約者、ガオナァ・スウィンドラー嬢。

この家には色々ややこしいしきたりがあり、彼女の"スウィンドラー"の方は本名ではない。

結婚したら、本名を教えてもらえる。


そして、僕の性別も、本物ではない。

僕は、女だ。



この家では、珍しく女性が家を継ぐ。

しかし、そうすると必然的に後継である僕は狙われる。

だから、男装。


西洋には男子に女装させる文化があるらしいが、逆は聞いたことがない。

まぁ、だからこそ、僕が今ここにいられるのだが。



なんて悶々と考えていたら、ガオナァ嬢が僕の顔を覗き込んだ。


ci「どしたん？
や、やっぱ、眼鏡せんとあかん……？」


僕のしかめっつらを別の意味に解釈したらしく、不安げに聞いてくる彼女。



結婚したあとに男じゃないって分かったら、貴女は失望するのかな……。




『いいえ。
僕は、無理に眼鏡をかけなくても良いと思いますよ。』



ci「え、ええの？」






『……そのオレンジの目が他の人に見られるのは、ちょっともやっとしますけど…。』


ぼそっと呟くと、彼女は真っ赤になった。





ci「て、天然タラシやんけ……。
俺(・)そういうん弱いからやめて。」







いつもより低い声で呟く彼女(・・)の声は、僕には届かなかった。

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