君の目に眩む(HN) ページ32
.
「…かまって」
僕がいる作業部屋までやって来たと思ったら一言。
振り返ると、クッションを抱いたまま悲しそうに眉を垂らしたAがそこに立っていた。
着けていたヘッドホンを外す。
「おいで?」
言いながら両手を広げた。
クッションをそこらへんに落としたAは、ひょこひょこと歩いてきて椅子に座っている僕の足の間に収まった。やさしく抱きしめる。
「寂しくなっちゃった?」
「…うん」
僕の彼女は素直で可愛い。
ちら、と部屋の時計を見る。没頭していて気づかなかったけど、もう3時間ぐらい経っていたらしい。
「ごめんね、集中しすぎた」
「いいの…」
か細い声でそう言うと、Aは僕の頭をやさしく撫でた。
こうやって普段一緒に家で過ごすぐらいしか出来ないのに、僕が作業したいからって放ったらかしにしちゃうことがよくある。その度に悪いことしたな、と思う。
それなのにAは「めんどくさい女だと思った…?」なんて小声で言う。
そんなこと思うわけないじゃん。
おもむろに身体を離して両手を軽く握った。座っているから自然とAを見上げる形になる。
「可愛いなー…って思ったよ」
Aの目を見つめてそう言った。
Aは分かりやすく照れてる。可愛い。
顔を隠そうと手を持ってこうとするのを、握っている力を強めて阻んだ。いっそう困ったように目を泳がすAを見て無意識に口角が上がる。
「…リビング行こっか」
コク、と頷いたAを見て立ち上がった。
身長差があるから今度はAに上目遣いで見つめられる。あー……キスして欲しそうな顔してる……….、
そう思ったらもう自ずと身体が動いていた。
少し屈んでAに軽く口づける。ほんの短い間触れただけで唇を離した。
「…」
「…もっと、」
そう言ってAはまだ物欲しそうな目で見つめてくる。
いちいち可愛いんだって……。ああ、なんかその気になってきた。
「…………もうベッド行こ?」
Aの答えを待たずにその細い腰に手を回した。
.
467人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねむを(プロフ) - 千景さん» そう言っていただけて安心しました〜!素敵なご意見ありがとうございました!! (2023年2月13日 21時) (レス) id: 89ca3ce3a0 (このIDを非表示/違反報告)
ねむを(プロフ) - にゃんさん» こちらこそありがとうございました!! (2023年2月13日 21時) (レス) id: 89ca3ce3a0 (このIDを非表示/違反報告)
千景(プロフ) - 2つとも採用していただきありがとうございます🙌🏻💕 特にリノのお話がドンピシャすぎました🥲♡ (2023年2月12日 16時) (レス) @page48 id: 2ff177cf34 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - わぁぁ!リクエスト採用してくださりありがとうございます✨ (2023年2月2日 23時) (レス) @page41 id: 58d06a67d0 (このIDを非表示/違反報告)
ねむを(プロフ) - まふゆさん» そう言ってもらえて安心しました…!!学パロ書くの楽しいことに気づいたので今後もちょくちょく書いていこうと思います☺️またいつでもお受けします〜! (2023年2月2日 23時) (レス) id: 89ca3ce3a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ねむを | 作成日時:2023年1月3日 19時