9話 記憶は綻び ページ10
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初めて会った時、"仲の悪い双子"という印象だった。
なにより性格が真反対に見えた。
でも
「…」
「そりゃ、そうですよね、たった1人の、家族ですもの、嫌いなわけないですよね」
「…そうだな」
「冨岡さん」
「なんだ」
無一郎くんのように
私にも大好きな家族がいた。
だからこそ、嫌になるくらい、無一郎くんの気持ちがわかってしまう。
「私の兄は…鬼殺隊では、どんな人でしたか?」
「……家族思いで、強くて、悲しいほどに優しいやつだった。」
私はまた、涙が溢れそうになった。
もう、自分のように大好きな家族を失って悲しむ人を見たくなかった。
私が無言になっても、冨岡さんは静かにただ隣に座っていてくれた。
「…お前も、まだ十参だというのに大変だな」
意識から遠く離れたところで、そんな声が聞こえた。
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「…あれ?」
気づくと、もう陽が落ち始めていた。
冨岡さんはどこかへ行ってしまったようだ。
…私、寝ちゃってた…?
「…誰?」
「え?」
聞き覚えのある声。
でも、前のような言葉の弾みはなく、重い、暗いような声だ。
「無一郎くん…!!!!
私よ、雛だよ!!」
「あの、知らないけど、なんで僕はここにいるの?ここはどこ?」
明らかに様子の違う無一郎くん。
まるで別人と入れ替わっているような。
「僕、なにも、おもいだせなくて」
「無一郎くん…?」
「雛…さん、だっけ?ねえ、僕を知ってるの?」
ああ、神様
この子からこれ以上奪わないで
もう十分に苦しんだはずなのに。
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るりり - 嗚呼・・・。なんて可哀想な夢主ちゃん・・・親を幼い頃から両方とも亡くすなんて・・・。 (2020年8月14日 15時) (レス) id: cd5947ff54 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - みどりさん» ありがとうございます!イチャイチャまでが長すぎて申し訳ないです…着実に進んでるのでお楽しみに…!!!!! (2019年11月10日 12時) (レス) id: 50f77e07c8 (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 面白いです!これからどう時透くんとイチャイチャしていくんだ…←不純な動機(?) 楽しみにしてます!これからも頑張ってください! (2019年11月5日 21時) (レス) id: ae6be26781 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - 柊よるさん» ありがとうございます!嬉しいです〜!了解です!読みに行きますね〜!!! (2019年11月4日 22時) (レス) id: 50f77e07c8 (このIDを非表示/違反報告)
柊よる(プロフ) - 面白かったです!これからもがんばってください!応援してます!宜しければ私の作品も読んでみてくだs(((殴 (2019年11月4日 19時) (レス) id: d4860154b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なこ | 作成日時:2019年11月4日 8時