エピソード159 怖い ページ22
死柄木さんの殺気に気圧され、
ヒーロー殺しは言葉を失った。
死柄木さんはヒーロー殺しに手を伸ばし、
崩そうとするも、後ろに避けられる。
死柄木「折角前の傷が
癒えてきたところだったのにさぁ…」
死柄木さんは立ち上がって、
血を床にポタポタと垂れ流す。
死柄木「こちとら回復キャラいないんだよ…
責任取ってくれんのかぁ？」
死柄木さんがイライラした時の癖…
伸びきった爪で自分の首を掻き毟る。
痛々しい音が空間を支配する。
敵「それがお前か？」
死柄木「は？」
掻き毟る手が止まる。
敵「お前と俺の目的は対極にあるんだ…
だが、”今を壊す”
この一点において
俺たちは共通している。」
死柄木「ざけんな、帰れ死ね。
最も嫌悪する人種なんだろ」
敵「真意を試した…
視線を前にして、人は本質を表す。
異質だが…想い…歪な信念の芽が
お前には宿っている。
お前がどう芽吹いて行くのか…
始末するのは、それを見てからでも
遅くはないかなぁ。」
死柄木「始末すんのかよ…
黒霧、こんなイカれたやつが
パーティーメンバーだなんて
嫌だね俺は。」
黒霧「死柄木弔。
彼が加われば、大きな戦力になる。
交渉は成立した。」
敵「要件は済んだ…さぁ、俺を保須へ戻せ。」
長くてざらついた舌で、自身の唇を舐める。
敵「あそこにはまだ成すべきことが残っている。」
敵「ところで…そこにいるお嬢ちゃんはなんだ？」
私最後まで空気だと思ってたのに…！
瞳孔の開ききった、冷たい目。
死柄木さんの殺気を見てから、
きっとこの人も
心に傷を負ったんだなって
そう思った。
『私は、』
死柄木「あんたには関係ないだろ」
敵「たしか…体育祭で実況やってたよな？
なんでこんなところにいるんだ？」
私を雄英の内通者とでも思ってるのかな？
まあ…強ち間違いじゃないけどさ。
『いいよ死柄木さん…私は大丈夫。』
私は死柄木さんを制して、
ヒーロー殺しの前に行く。
『貴方が言った言葉…納得しこともあったよ。
何をするにも信念や想いは必要。
でも、生きてる時点で誰もが持ってるよ、』
赤くて小さな瞳をしっかり見つめる。
本当は怖いけど…
言いたいことが言えずに
そのまま犯罪者を野放しにする方が
もっと怖い！
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作者名：胡桃 | 作成日時：2019年1月23日 16時
