・ ページ21
・
「Aって、やっぱり波羅夷くんのこと好きなの？」
突然の話題転換に私は呆気に取られた。
『えっ、好きだよ』
一日は二十四時間です、と同じくらい当たり前のように返事をする。
「...確認だけど、幼馴染として好きかどうかを聞いてるわけじゃないよ？」
あ、そういえば、
「恋愛的に好きかどうかって質問！」
ワクワクした表情を向ける友達。
そう、中学生になってからは女の子同士で話をしているとほとんど恋の話になる。
『...』
「A？」
『...この気持ちが、恋なのか分からない』
「んー、そっかぁ。
例えば私だったら、ほら、前に言った隣のクラスのあの人が近くにいるだけできゃー！ってなるし、なんかドキドキするの！」
そう言ってとても幸せそうに頬を桃色に染めるから、思わず私まで笑顔になってしまう。
『近くにいるだけで、か...』
ドキドキとかそういうのではない気がする。
その真逆で、空却といると心が落ち着く。
「知ってるかもしれないけど、波羅夷くんって超モテてるからね！
別の小学校の女子も気になってるって言ってたし、私が知ってるだけでもう、一、二...三人ライバルがいるんだよ！」
『そうなの！？』
まだ新学期が始まってまもないにもかかわらず恋の極秘情報を手に入れている彼女の人脈の広さと、空却に想いを寄せる女の子の存在に驚きを隠せない。
波羅夷くん、女子とも普通に喋ってくれるし、顔もかっこいいからみんな好きになっちゃうけど...となにやら嘆いている友だちの声は右から左で、さっきのことに関して気になる点がひとつ。
『...ちょっとまって、"ライバル"って？』
「それは...も、もしも！
ほとんどありえないけど、もし波羅夷くんが誰かと付き合うことになったら、Aどうするの！？」
『どうって...何か変わっちゃうの？』
最近はこの一年生の間でも、小学校の垣根を越えて"付き合う"人たちが増えている。
「もちろん恋人第一なんだから、Aは身を引かないと！」
その言葉にハッとさせられる。
『そう、かも...』
空却が誰かと付き合う未来なんて考えたこともなかった。
そうなったら、私は邪魔者ってこと...？
すると始業のチャイムとともに先生が教室へ入ってきて、クラスメイトは散るようにして各自の席へ座った。
・
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 135人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むーこ - 素敵な作品すぎますよ…！続きのご予定はもうありませんか……？ (4月25日 23時) (
レス) @page21 id: 6b7afb9598 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - いとさん» とても嬉しいです(˶ ̇ ̵ ̇˶ )♡こちらこそ読んでいただき、感想までくださって本当にありがとうございます！もっと好きになってもらえるように頑張ります｡˚✩ (2023年3月30日 18時) (レス) @page20 id: d7bba88e32 (このIDを非表示/違反報告)
いと - 最高です(泣)素敵な作品をありがとうございます。続き楽しみに待ってます。 (2023年3月29日 22時) (レス) @page18 id: 2e3d0ac53d (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - 音さん» ご感想ありがとうございます！そう言って頂き、私も幸せでいっぱいです♡忙しくて更新が出来ていませんが、この作品は必ず完結させますので、ぜひ最後まで見届けてください(*^^*) (2022年10月10日 23時) (レス) id: d7bba88e32 (このIDを非表示/違反報告)
音 - 不器用な恋で胸が暖かくなりました。ありがとうございます。続きを楽しみに待ってます。 (2022年9月14日 2時) (レス) @page13 id: c1a228581f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翠 | 作成日時：2022年4月5日 7時
