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『ん...』
なんとなく肌寒く感じて、ぼんやりとした意識の中でゆっくりと頭をあげる。
すると、私の眠気を飛ばすようにふわりと風が吹き抜けてきた。
目を開けると、そこには縁側に座る空却の後ろ姿がある。
『っ、』
無事でいてくれたことに、心底ほっとして自分の身体に上手く力が入らない。
「A」
その声にはっと顔を上げると、空却は畳に手をついてこちらを振り返っていた。
溢れ出そうな涙をこらえて立ち上がり、隣に腰掛ける。
空却の膝の上にはぬこがどっしりとくつろいでおり、頭を撫でてもらって気持ちよさそうに欠伸をしている。
『...ありがとう、空却。
あれから、大丈夫だった？』
空却の方を見て話しかけているのに目が合わない。
「おー、なんともねぇよ」
...本当だろうか。
いつものケロッとした雰囲気では無い、なにか覚悟を決めたような眼差しに違和感を感じる。
「...A、今後もしあいつらに話しかけられたら、すぐその場を離れろ」
そう言い終わってやっとこちらを向いてくれたけど、やっぱりなにかあるような気がしてならない。
『うん、わかった』
しっかり目を見て返事をすると、空却はまた前を向いてどこか遠くに視線を預けていた。
見慣れない学ラン姿の空却。
私たちも、ゆっくり、ゆっくりと大人に近づいているのだと感じさせる。
こうして空却の家で二人で並んで話すのも、今までと比較すれば、随分久しぶりのこと。
すぐ横にいる空却が前より少し遠い存在になったような気がして、私は寂しさを覚えた。
無条件に私のそばに居てくれる人は、もうおばあちゃんと空却しかいない。
...お願い、私を一人にしないで。
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むーこ - 素敵な作品すぎますよ…！続きのご予定はもうありませんか……？ (4月25日 23時) (
レス) @page21 id: 6b7afb9598 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - いとさん» とても嬉しいです(˶ ̇ ̵ ̇˶ )♡こちらこそ読んでいただき、感想までくださって本当にありがとうございます！もっと好きになってもらえるように頑張ります｡˚✩ (2023年3月30日 18時) (レス) @page20 id: d7bba88e32 (このIDを非表示/違反報告)
いと - 最高です(泣)素敵な作品をありがとうございます。続き楽しみに待ってます。 (2023年3月29日 22時) (レス) @page18 id: 2e3d0ac53d (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - 音さん» ご感想ありがとうございます！そう言って頂き、私も幸せでいっぱいです♡忙しくて更新が出来ていませんが、この作品は必ず完結させますので、ぜひ最後まで見届けてください(*^^*) (2022年10月10日 23時) (レス) id: d7bba88e32 (このIDを非表示/違反報告)
音 - 不器用な恋で胸が暖かくなりました。ありがとうございます。続きを楽しみに待ってます。 (2022年9月14日 2時) (レス) @page13 id: c1a228581f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠 | 作成日時：2022年4月5日 7時
