・ ページ13
−一郎side−
・
「........」
思考停止した俺を覗き込むA。
クソ...、可愛い...。
『一郎くん？急にどうしたの？』
「じゃあ別にアイツのことは好きじゃないのか。
...よかった」
でもやっぱりAを諦めきれなくて、醜く強がる。
『どういうこ...「なあ、A」
「...心配なんだ...、行くなよ...」
自分のものでは無いような震えた声。
告白もせずに...カッコ悪すぎだろ、俺...。
『...ありがとう、そんな風に思ってくれていたんだね。
確かに距離は遠いかもしれないけど、一郎くんに支えてきてもらったことを思い出して、私、これからも精一杯生きるよ！
心はすぐそこ、ってやつ？』
流石に鈍感すぎる...。
...待てよ、てことはAは まだアイツへの恋心(これは俺の憶測に過ぎない＆認めたくないが！！！！)も気付いてないんじゃねぇか...？
「...っ、ハハッ！
ホント、最後の最後までAらしいな...」
『ちょっと一郎くん！"最後の最後"じゃないでしょ！
絶対また会いに来るから...ね？』
「...おうよ」
...今日Aに渡したCDの中に夏のライブのプレミアムチケットを同封しておいた。
決めた...、その夏にAを俺のものに...。
・
話していたら、駅の近くまで着いた。
本当に行ってしまうんだな...。
最後に、少しでも...俺の事を意識してほしい。
『じゃあ、ここら辺で大丈夫だから。
ありがとう、一郎く』
別れを告げられる...、そう焦ってしまい、ごちゃごちゃ考える前に体は動いていた。
俺の体にすっぽりと収まる小さなA。
「...好きだ」
自然と小さく出た言葉。
はっ、とAから離れる。
「着いたら、連絡しろよ。...じゃあ、気をつけて」
返事も聞かずに歩き始める。
聞こえてたか...？
結局振られるのが怖くて、面と向かって告白しなかった不甲斐ない自分に嫌気がさす。
はァ...俺ってこんなに男気なかったか？
・
家に帰ってからというもの、なぜか二郎と三郎の視線を痛いほど浴びた。
あと、なぜか今日の夕飯当番は俺なのに「今日は俺らが作る！」と二人が珍しく喧嘩をすることもなく飯を作ってくれた。
隕石でも降ってくるんじゃないのか？
「はァ...」
...Aと別れてから、ずっと心にぽっかりと穴が空いた心地がしている。
すでに隕石は...俺の中に落ちていたのかもしれない。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 90人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翠(プロフ) - rhatomuさん» わ〜〜(⸝⸝⸝ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀⸝⸝⸝)♡*゜ありがとうございます！更新捗ります！♡ (2022年1月3日 15時) (
レス) @page37 id: 2440a5bb59 (このIDを非表示/違反報告)
rhatomu(プロフ) - すごく面白いです！続き期待してます！ (2022年1月2日 22時) (レス) @page36 id: 60d73fe231 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» コメント嬉しいです(˶ ̇ ̵ ̇˶ )ありがとうございます！更新頑張ります！！ (2021年9月26日 1時) (レス) id: 2440a5bb59 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを楽しみに待っています！(*´ω｀*) (2021年9月18日 7時) (レス) id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翠 | 作成日時：2021年8月11日 0時
