ニートのオタク×会社員のオタク ページ3
「ここのシーンで、〇〇ちゃんが・・・」
「そうそう、その後こうなって・・そこで□□が出てくるんだよな!」
新宿、信号待ち。
27歳ニート、がっつりオタクの俺。
なぜか今、信号待ちしていたオタクの人と会話が弾んでいる・・・
「凄いですね!俺もこのゲーム、コンプリートしたいんですけど出来なくて。」
会話している相手は、俺と同じ位の年に見える普通の会社員っぽい人だ。
その人はスーツを着ていて、一見普通の人に見える。
でも、その人のスマホケースが俺が好きなゲームのキャラで、思わず声をかけた・・という訳だ。
その人は笑って言う。
「仕事の息抜きでゲームって、結構リフレッシュしていいんですよ。」
「ゲームのプレイ時間が取れなくて、中々進まないんですよ。」
その人の話を聞いていると、何かが俺の中で壊れる音がした。
残り10秒程で、信号は青になる。
そうしたら、俺とその人との縁はすぐに切れるだろう・・・
俺は1つだけ質問する。
「あの・・人生って、やり直せると思いますか?・・・ゲームみたいに。」
その人は笑って言う。
「ゲームでも現実でも、何度でもやり直せると思いますよ。」
“現実社会の中でゲームが生まれたようなもんですから。”
☆
家に帰った俺は、リビングにいる母親に声をかけた。
「母さん。」
「ん?」
「仕事、始めるから。」
「何、急にどうしたの!?」
母親の問いに、俺は「なんでもないよ」と言った。
「現実社会でも、何度でもやり直せる、か・・・」
あの人とは、もう会えないかもしれない。
だけど、何か大切な事を学んだ気がして、心が温かくなった。
END
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作者名:みみみー | 作成日時:2018年2月9日 20時