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『…』
「…」
この空気。お互いに気遣いすぎる故に起こってしまった沈黙だ。ただ、目の前の天ぷら丼を食べているだけ。
この男と何を話せばいいのだろうか。仕事のこと？いや、この男と私では仕事が違う。趣味のこと？この人のことなんて偉そうな人以外に分かったことなんてなかった。
悩んでいたとき、先に口を開いたのはトントンだった。
「お前はなんで
トントンは私の家の経済力まで調べていたのか。聞かれたことに素直に返すこともしたくないのでうまくかわそうと口を開いた。
『えぇ、他人に比べたらとっても満足した生活はしてたと思いますね』
「せやならなんでここに来たんや？」
婚約から逃れるため。
そう言いたかった。だが、この理由はとても誇れるものではない。絹にはこの理由を教えたがその時は「いいわね。あたしなんて貧しいから金稼ぎのためよ」なんて嫌味混じりで返された。それからというもの、この質問の回答は濁していた。
『さぁ？何でしょうね』
「嫌な奴やな…」
トントンは眉をしかめて何処か不満のあるような表情を見せた。やっぱり何かを探ってたのだろう。
『ところで私もトントンさんのことが分からないので、もっと知りたいです』
「は？そんなこと聞いて何になるんや？」
『私のことを一方的に知られても嫌なんで』
「はぁ…まぁ、ええけど。逆に何が聞きたいんや」
『そうですねぇ…』と顎に手をあて少し考えた。言ってみれば聞きたいことはない。聞くなら握られて困るような秘密がいいが、話すわけがないか。
『なら、年齢とか？』
「24や」
『ふーん…確かにそんなところかしら』
「もっと興味示してくれてもええんやで」
『遠慮しとく』
「他には」と聞いてきたトントン。そんなに知られてもいいのだろうか。
『結婚はしてるの？』
「…はっ！？」
何か地雷を踏んでしまったのかトントンは耳を赤くしてぴくりと驚いた。
この反応は初めてだ。
『どうしたの？何かあったような反応だけど』
「あ、いや…ちゃうんや…」
これは…
慌ててるトントンに心が少し晴れた。今までのやり返しとなるかもしれない。ここぞとばかりに攻めよう。
『なになに？どうしたの？そんなに慌てちゃって』
「あー！もうええわ！結婚はしてません！」
トントンはテーブルをダンと叩いて言った。
そして、からかい続けていたらあっという間につまらなかった時は過ぎた。
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凛 - 更新してくださりありがとうございます。これからも自分のペースで頑張ってください。 (2021年12月30日 21時) (
レス) id: 35d08cc685 (このIDを非表示/違反報告)
青い朱雀 - すっっっっき... 無理せず、更新頑張ってください。 (2021年12月18日 10時) (レス) @page24 id: e603c0dff1 (このIDを非表示/違反報告)
菊 - 続きが気になります。 更新頑張ってください。 (2021年11月28日 16時) (レス) @page23 id: 35d08cc685 (このIDを非表示/違反報告)
大根おろし(プロフ) - 更新を気長に待ってます、頑張ってください (2021年4月25日 16時) (レス) id: b2446655e6 (このIDを非表示/違反報告)
青(プロフ) - あずきもち。さん» ありがとうございます！ (2021年3月14日 22時) (レス) id: ba86ab62db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あなたのしゅきぴ♡ | 作成日時：2020年6月21日 9時
