パンとコーヒーの幸せ ページ8
最近、桜葉家には新しい日課が出来た。
それは、高校から帰ってきた末の双子が、すぐに玄関に向かうのではなく一度兄達の店に寄る、というもの。
未だ終わりを見せぬ成長期のためか、二人が空腹を訴えたのが始まり。
とはいうものの、和也は元々小食であるため、殆どが潤の腹におさまる。
和潤「ただいま。」
智「お帰りー。」
翔「お帰り、今日はどれが良いんだ？」
今日も自転車を置いた二人が、そのまま店に入る。
智と翔が、笑って迎えてくれた。
潤「智兄、カレーパンある？」
トレーとトングを持ったまま、潤が店内を探す。
智「あ、カレーパンなら後５分ぐらいで出来るよ。和のクリームパンもね。」
和「メロンパンも。」
翔「はいはい、ちゃんとあるから。」
歳が離れているせいか、上二人は基本双子には甘い。
そこへ、雅紀が店内の階段を降りてきた。
雅「あ、和、潤。お帰りー。」
潤「ただいま。」
和「ただいま、まーくん、コーヒーください。」
雅「はいはい、今淹れるから。」
「潤も飲むでしょ？」と笑って応える雅紀を、和也はじっと見つめる。
白のシャツに黒のズボン。
雅紀が店に立つときの、いつもの格好。
カウンターに立ち、コーヒーを淹れる雅紀からは、いつもとは違う雰囲気を感じる。
和也は空のトレーをカウンターに置き、雅紀の真正面の椅子に座る。
雅「あれ、今日はパン食べないの？」
和「食べるよ。クリームパンとメロンパン。焼きたて待ち。」
雅「くふふ、本当にそれ好きだねぇ。」
他愛のない話をしている雅紀の目は穏やかなまま、コーヒーカップから離れない。
そして、和也も雅紀の手元を見たまま、会話を続ける。
和「…お腹空いた…。」
雅「成長期だもんねぇ。いっぱい食べないと。」
和「成長止まったもん。身長伸びない。」
雅「だから、いっぱい食べるんだよ。」
そんな話をしていると、智が「パン焼けたよー。」と声をかけてきた。
智「はい、カレーパンとクリームパン、メロンパンね。」
既に潤のトレーには、他にもパンがいくつか載っていた。
智にパンをトレーに乗せてもらった和也は、潤のそのトレーを見つめる。
和「…相変わらず、よく食べるね。」
潤「いや、お前が小食なんだって。」
雅紀のコーヒーもトレーに乗せ、二人は店内の階段から自宅に上がる。
トレーの上は、良い香りのパンとコーヒー。
それは、兄達の愛情たっぷりのご馳走。
末の双子は、そこにたくさんの幸せを感じていた。
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chamiN614(プロフ) - はじめましてm(_ _)mちゃみんと申します。緑ちゃんが可愛らしくて、家事そっちのけで一気読みしてしまいました^_^他のみんなが緑ちゃんに対して優しい反面時に厳しくの関係がなんだかほっこりしました。続きが楽しみです。更新楽しみにしています^_^ (2019年10月4日 9時) (
レス) id: d892573298 (このIDを非表示/違反報告)
はるやん(プロフ) - ちぃちさん» お返事が遅くなってしまい、すいません。コメントありがとうございました。一気読みしていただけるなんて、嬉しいです。遅い更新ですが、復活しましたので気長にお付き合いいただけたら幸いです。よろしくお願いします。 (2016年8月11日 22時) (レス) id: 96da3992ed (このIDを非表示/違反報告)
ちぃち(プロフ) - はじめましてちぃちと申します。楽しくて一気に読みきってしまいました。兄弟の仲の良さにほくほくしています。更新楽しみにしています 。。 (2016年1月16日 8時) (レス) id: bcc2d1cf7a (このIDを非表示/違反報告)
はるやん(プロフ) - みかんさん» こんにちは。拙い作品ですが、最初から読んでいただけて、光栄です。更新かなり遅めですが、気長に待っていただけたら嬉しいです＾＾ (2015年9月2日 7時) (レス) id: 96da3992ed (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - こんにちは！夕焼け小焼けはじめから読ませて頂きました。とても面白くてほっこりした暖かい気持ちになりました。これからもはるやんさんのお話楽しみにしています！ (2015年9月1日 15時) (レス) id: 72a8a6a586 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるやん
| 作成日時：2014年10月22日 12時
