雨上がり５ ページ35
智「父ちゃんと母ちゃんは、元々いないも同然だったのに。何を今更そんなに落ち込んでいたんだろう。」
翔「まぁ、それを言ったら、父さんと母さんも立場がないんだけど。…でも、本当そうだよね…。」
翔は目の前のコーヒーカップを手に取り、一口啜った。
翔「…大学続けるよ。でも、バイトだけは許してね。」
智「ううん、ごめん。おいらも、ついカッとなって殴ったりしちゃって。」
翔「智君に殴られたのなんて、きっと初だわ…。」
智「おいらも、弟殴ったのは初だよ。ごめんね、痛かったよね。」
申し訳なさそうに、智が言うと翔は苦笑いした。
翔「まぁね、めっちゃ痛かった。…けど、目が覚めたよ。」
智「目を覚まされたのは、僕もだよ。雅紀のおかげだね。」
そうだね、と微笑む翔。
智「さ。明日から頑張らなくちゃ。まだまだ手のかかる弟が四人もいるしね。」
翔「え、四人って俺も入ってる！？」
智「だって、おいらからしたら翔君も弟だもん。」
そうだけど、と不貞腐れる翔。
智「嘘だよ。頼りにしてるよ？」
智と翔が、久々に笑った。
翌日、雅紀が目を覚ますと、リビングから良い匂いが漂ってくる。
首を傾げながら、襖を開けると、ちょうど翔がテーブルに皿を並べているところだった。
翔「お、起きたか？おはよう。」
雅「…おはよ…。」
翔「どうだ、気分は。もう良いのか？」
雅紀の前に来て、視線を合わせる翔は、いつもの兄の顔をしていた。
少し驚いた雅紀は、うんと頷いただけだったが、翔は嬉しそうに微笑んだ。
翔「そうか、良かった。…昨日はごめんな。」
雅「…ううん。」
昨晩、喘息の発作を起こしてしまったところまでしか記憶がない雅紀は、兄の様子の変化に追いついていない。
翔は、雅紀の横をすり抜け、双子を起こしに行く。
翔「ほら、和也、潤！朝だぞ！！起きろ！」
和「…眠い…。」
翔「かーず！寝まくっている弟には、サンタは来ないんだぞ！」
和「何の話をしているんですか…。」
翔「良いから、早く起きろ！兄ちゃん、大学に遅れるだろ！！」
潤「…しょうにぃ…うっさい…。」
呆気に取られている雅紀の元に、智がやってくる。
智「雅紀、おはよう。ご飯冷めちゃうから、先に食べちゃいな。」
雅「…あ、智兄。おはよう。」
智「ほら、翔君。先にご飯食べちゃうからね。和也も潤も。無くなっちゃっても、おいら知らないよ？」
雅紀の手をひきながら、智は和室の三人に声をかける。
いつもの暖かい空気が、桜葉家に戻ってきた。
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はるやん(プロフ) - みみさん» こんばんは。さぁ一体雅紀君に、何があったんでしょうね(´∀｀)今回もちょ〜っと長くなりそうです。そういえばここ数話、皆が大人のお話ですね。おちびちゃんは別で書いているので、多分大人ばかりになるかな？多分ですけどね(´∀｀) (2013年7月25日 21時) (
レス) id: 7adfd23576 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - こんばんは。雅紀くん何があったんでしょうか。すごく気になります！小さい頃のお話も好きですが、私はみんなが大人になった話が一番好きです(^.^) (2013年7月25日 20時) (携帯から) (レス) id: 499f2d8804 (このIDを非表示/違反報告)
はるやん(プロフ) - ラベンダーさん» こんばんは☆楽しい雰囲気がお伝えできて、良かったです！ (2013年7月22日 21時) (レス) id: 7adfd23576 (このIDを非表示/違反報告)
ラベンダー(プロフ) - こんにちは
長男と三男の癒やしオーラ満載と次男に悪戯を仕掛ける末っ子コンビに久し振りに笑えました。 (2013年7月22日 18時) (携帯から) (レス) id: cbbfe1ce17 (このIDを非表示/違反報告)
はるやん(プロフ) - ケイさん» こんにちは。長男と三男が揃うと、ほのぼのとした空気になりそうですよね。その横で末っ子達を追いかける次男…毎日楽しそう（笑） (2013年7月22日 15時) (レス) id: 7adfd23576 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2013年6月14日 9時
