指きりげんまん１ ページ8
春うらら。
兄達が自分達の話をしているとは、露知らず。
双子は川沿いの土手の斜面に、寝転んでいる。
今日は始業式だった。
和「春ですねぇ。」
潤「…何だよ、藪から棒に。智兄のじいさん癖がうつったか？」
和「まさか。」
口調は心底嫌そうだったが、その顔は儚げに微笑んでいた。
和也は腕で両目を覆うと、そのまま口を閉ざした。
泣いているようにも見えるその仕草が、潤には理解出来てしまい、居たたまれなくなったのか上半身を起こし座った。
潤「…また会いたかったな。」
その声は、風に流された。
12年前。
智16歳、翔14歳、雅紀8歳、和也・潤6歳
その日は翔が、双子の迎えに幼稚園に向かった。
翔「和、潤。帰るぞ。」
中学に上がった翔は、環境の変化かお年頃か、最近言動がぶっきらぼうになっていた。
潤「あ、しょうにいちゃんだ。」
和「かばん、もってくる！」
教室に向かって駆け出した双子を追いかけ、翔もまた教室に向かった。
帰り支度をしている双子を担任の先生が手伝っている。
翔「すいません、迎えに来ました。」
ドアから顔を覗かせ、遠慮がちに言えば、満面の笑みの先生が振り返る。
翔は、その笑顔に弱い。
先「はぁい。良かったね、和也くん、潤くん。お兄ちゃん来てくれたよ。」
支度を終えた二人が、先生に背中を押されるように近付いてきた。
翔「何やってんだ、帰るぞ。」
そう話かければ、双子は先生の後ろに隠れ、顔を覗かせる。
和「…きょうは、しょうにいちゃんだけ？」
翔「だけ？って、いつも俺か智兄かどっちかだろ。」
潤「…だって、さいきん、こわいんだもん…」
翔「はぁ？」
和「さとしにいちゃんのが、やさしい。」
翔「なっ！？お前ら！」
双子からの意外な言葉に、翔が思わず大きな声を出そうとすると、クスクスと笑い声が聞こえた。
視線をあげれば、先生が微笑んでいる。
翔は、その笑顔に思わず見とれた。
先「和也くんも、潤くんも。そんなこと言ったら、お兄ちゃん悲しいよ？」
双子も先生を見上げる。
和「だって、こわいんだもん。」
潤「すぐ、おこるんだよ。」
和潤「…へたれだけどね。」
翔「なっ！？お前らっ！どこで、そんなん覚えた！」
赤い顔で、鯉のように口をパクパクさせる翔を、双子はしたり顔で見上げた。
先生がまたクスクスと微笑むと、それに気付いた翔は赤い顔のまま、その笑顔を見る。
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雅狐 - 物静かな人が一番怖いとは、よく言ったものですね。 (1月5日 20時) (
レス) @page35 id: 8b57b1b168 (このIDを非表示/違反報告)
はるやん(プロフ) - くまさん» 初めまして、おはようございます。ゆりかごの件ですが、ロックを解除するつもりは毛頭ありません。申し訳ございませんが、ご理解願います。 (2013年7月13日 7時) (レス) id: 7adfd23576 (このIDを非表示/違反報告)
はるやん(プロフ) - まーさん» こんばんは。二人の関係は、良い方向に行くと良いんですけどね〜。さて、どうなることやら(´∀｀)今日か明日には、移行します〜。ゆりかごも、もうちょいで移行ですね♪ (2013年4月21日 21時) (レス) id: 7adfd23576 (このIDを非表示/違反報告)
はるやん(プロフ) - まーさん» こんにちは。本当、何だか珍しく切なくなっちゃいました…。そうそう、双子なんです〜。一人か悩んだんですけどね（笑）ゆっくり休んでくださいね♪ (2013年4月20日 7時) (レス) id: 7adfd23576 (このIDを非表示/違反報告)
はるやん(プロフ) - みみさん» こんばんは。嬉しいコメントありがとうございます。そんな風に言っていただけて光栄です♪リクをいただいて書いたお話でしたが、繋げてみました。移行するまでは、一話完結ぐらいの短いお話が続きますが、よろしければご覧くださいませ（●＾o＾●） (2013年4月19日 22時) (レス) id: 7adfd23576 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2013年3月29日 15時
